BREITLING TRANSOCEAN UNITIME PILOT

またずいぶんと更新しない毎日が続いてしまいました。

この季節のメイン趣味はスキーなんですけど、今までなら家族の手前、行く回数がどうしても

制限されてしまいましたが、三月いっぱいは単身のため、昨年の倍近い出動回数に

及んでいます。スキーに行かない週末もそれなりに用事があったりして、なかなか

更新のネタが作れないという状況ですが、ようやく一本の記事が書きあがりましたので

投稿させていただきます。



昨年四月の増税前に駆け込み購入した時計について、レビューがまだでしたので、

遅ればせながら書いてみたいと思います。すでにタイトルに書いちゃってますが、ブツは

ブライトリングのトランスオーシャンユニタイムパイロット
イメージ 1


馴れ初めは一昨年11月のブライトリングデイ。当時は中身の機械にばかり興味が行っており、

どんなニューモデルが出ているのかさえ知らない状態でいきなり現物と対面したのですが、

その時一目ぼれにも近い印象を持ったのです。その辺は、「ブライトリングデイ2013」の記事でも

ちょっと触れています。

トランスオーシャンユニタイムが出た時、中身はともかく文字盤の世界地図がデザイン的にも

質感的にも受け入れられず、将来的な検討対象にもなっていませんでした。(そう言えば、営業の人に

「ひとつどうですか」と言われた時に「文字盤がよくなったら考えます」と回答したことを思い出しました。)

そんな、購入意欲をまったく起こさせなかった文字盤ががらりと変わり、地味な青に。ナビタイマーの青

のようなサンレイ仕上げではなく、ソリッドカラーのマットブルー。そこに、一見不規則に配置された

サマータイムを表すマークと矢印の赤がいい挿し色になっています。しばし見入ってしまいました。


その翌年(2014年)2月くらいに、再び店頭で手に取った時にその想いが甦り、いつかは欲しいな、

と思ったのですが、その時はまだ「いつか」と思うだけでした。

しかしよく考えてみると、3%ではあるものの消費税増税が間近に迫り、その後には恒例の

価格改定が控えています。今の情勢では価格が下がるはずはなく、間違いなく上昇するでしょう。

また、全製品一律の値上げ率ではなく、売れ筋は抑え、それ以外は大幅値上げとなることも

過去の例から十分予測できました。ユニタイム系は間違いなく大幅値上げとなるでしょう。

買うなら増税・値上げ前の今しかない。

たまたま、会社の福利厚生制度で積み立てていた預金(嫁には内緒)がちょっと前に満期に

なったばかりで、その金額がうまい具合に支払い金額とほぼ同じだったこと、また転勤前提の

人事異動を言い渡された直後で、精神が不安定になっていたことなどがあって、購入に

至ってしまったというわけです。

搭載キャリバーは、B05。リューズひとつの操作で、分針や秒針にはまったく影響を与えず、

時針、都市名リング、時間目盛リングの同時切替が可能な世界唯一のクロノグラフ

ムーブメント、ということですが、では他のワールドタイム時計と具体的にどこが違うのか?

私自身もよくわかりませんのです(^_^;、

過去のクロノス日本版にワールドタイムウォッチの特集があったと記憶していたので、それを

参考にしようとバックナンバーを漁ったのですが、どうしても見つかりません。

ということで、私が今まで触ったワールドタイム時計と比較してみることにします。


まず、一番簡単な表示方法。単独で動かすことができない24時間表示針と、専用の

竜頭で回転させるインナーベゼルの組み合わせで第二時間帯を表示する時計。

手持ちの時計ではこれが該当します。

次は単独で動かせる24時間表示針と24時間表示が刻まれた文字盤との組み合わせの時計。

手持ちの時計ではこれが該当しますね。

そしてその次は、単独で動かせる24時間表示針と回転ベゼルとの組み合わせで、第3時間帯まで

表示できる時計。手持ちの時計ではこれが該当します。

これらのワールドタイム機能は、基本的にホーム国にいて、他国の時刻を知る時に便利な機能と言え、

実際に外国に行った時の現地時刻を知るにはちょっと手間取ります。

通常ホームタイムを表すメインの三針を、時計を止めることなく動かすことができないため、

実質現地時刻を知りたい時は、毎回24時間表示針の方を見なければならないからです。

それに対してB05は、時計を止めずにメインの時針を動かすことができるため、外国についたら

そこの時刻に簡単に変更することができます。その操作方法を書いてみましょう。


まず、ホームタイムを設定します。竜頭を一段引いて回すことで自国のタイムゾーンを選択します。

私は日本在住ですので、都市名リングの「TOKYO」が12時の位置に来るようにします。

都市名リングの回転に合わせ、24時間リングと時針も回転します。この時、秒針は止まりません。

そして、竜頭をもう一段引いて、時刻合わせをします。

残念ながら、日付の早送りはできないので、竜頭一段引きで時針を回して日付を送っておく

必要があります。もちろん、二段引きでぐるぐる回しても日付は変わります。

日本にいて外国の時刻を知りたい時は、知りたい国の時間帯と同じ都市名を探します。

たとえば、アメリカの東部時間を知りたい時、都市名はニューヨークになるのでそれを探し、

見つかったらその内側の24時間リングの数字を見ます。上の写真の場合は20ですので、

アメリカ東部時間は前日の夜8時ということになります。前日か当日かは、自分で判断する

必要がありますが、日本より早い時刻の国はそれほどありませんから・・・

これで、24のタイムゾーンを知ることができることになります。


さて、今度は外国に行ったとしましょう。たとえばニューヨークへ行くとします。

現地についたら、おもむろに竜頭を一段引き、都市名リングの「NEW YORK」が12時の

位置に来るようにします。ニューヨークは日本時間に対して-14時間(冬時間)ですから、

時間を戻す方向に回す必要があります。

操作はこれだけです。都市名リングに連動して時針、24時間リングも動きますし、

0時を跨げは日付も変わります。世界中を移動しても、日本との時差を知らなくても

簡単にその国の時刻に合わせられるわけです。

このようなワールドタイム機能を持つ時計は、たぶんほかにあるんじゃないかと思いますが、

竜頭ひとつですべて操作できて、クロノグラフもついているのはこのB05だけ、ということ

なんだろうと思います。


★スタジオブライトリングの林さんが解説している動画がありましたのでリンクを張ります。
こちら


以上がこの時計の最大の特徴でした。


次に、私の琴線に触れた外観についてです。この辺は完全に好みの問題ですので、

予めご承知おきいただきたいところですが、まずは文字盤の色ですね。

私の場合、青文字盤というと、サンレイ仕上げの青をイメージします。ナビタイマーの青は

これですが、そのイメージが大変強いのです。

しかし、このユニタイムパイロットの青は、サンレイ仕上げのような華やかさはなく、実に

渋い。地味です。それがイイ。また、文字盤の色に対して24時間リングと都市名リングの

色が微妙に違って、やや薄い青のため、のっぺりした印象になるのを防いでいるような

気がします。それを狙って色を変えているのか、たまたま製造方法が違うためなのかは

わかりませんが、個人的には結果オーライと言えます。
イメージ 2



この青に対して、絶妙の挿し色になっているのがサマータイムを表す赤いマーク。

マークの位置や三角の長さが不均等なのも、デザイン的な効果があると思います。

タキメーターの不等間隔目盛が、なんだかよくわかんないけどかっこいい、みたいな

視覚的効果があるのと似ていますかね。まあ、こちらは今となっては実用的意味が

ほとんどないわけですが。


針やインデックスは、非常にシンプルなデザインですが、作りは申し分ないと思います。

実体顕微鏡で見ても、アラはほとんど見つかりません。エッジはシャープで気になる

バリはありませんし、長短針の真ん中は梨地の溝が彫られ、夜光塗料はその溝の

底と同じ高さにしっかり入っています。
イメージ 3



次にケースですが、これまでのトランスオーシャンとは打って変わって、ほぼ全面が

ヘアライン仕上げとなっています。最初のユニタイムの中途半端なラグジュアリー感と

言いますか、おもちゃ的な外観(筆者主観)が、この時計の本来の姿ではなかった

という反省がブライトリング内にあったらしく、宣伝文句である「プロのための計器」の

観点で見直しをした結果、地味な文字盤と全面ヘアラインという仕様になったそうです。
イメージ 4
イメージ 5


このヘアラインですが、個人的には今一つです。ビシッと筋目が出ている感じがなく、

質感が低いんです。10万20万の時計ならまだしも、この時計の価格からしたら、

もっとしっかりしていてもいいんではないかと思ってしまいます。個人的には、ブラックバード

サテン仕上げが好きなのですが、これをケース全面にやるのは大変なんですかね。

最近の時計は、価格は高騰しているのに随所にコストアップを抑制した跡が見られるような

気がしてなりませんが、それでも全体としての質感は上がってるんでしょうか・・・
イメージ 6
イメージ 7



裏蓋です。シースルーバックではありません。シースルーがいいか、ソリッドがいいかは

個人的好みによるところが大きいと思いますが、私はどちらでもいいです(^_^;
イメージ 8


シースルーだと機械が見えるのはいいですが、装着感は若干落ちます。ソリッドだと

機械は見えませんが、ブライトリングの場合は凝ったデザインのモデルが多いので

それも捨てがたいです。ただ、ユニタイムの場合はそれほど凝ってない感じですね。

裏蓋の真ん中に飛行機のような絵と"TransOcean"のロゴ。ここだけがこの時計の

ポリッシュ部分です。
イメージ 9


このユニタイムパイロットを手に取ってみるとわかりますが、裏蓋のエッジが非常に

立っています。手首に着けていても、エッジが皮膚に引っかかるのがわかります。

最初は非常に気になって、エッジを少し垂らそうかと思ったくらいですが、たぶんひどい

結果になることが予想できたのでやりませんでした。そのうち、慣れたのと使用により

エッジがわずかながら摩耗したせいか、あまり気にならなくなりました。
イメージ 10



ブレスも全面ヘアラインです。何らかの艶消し処理がされた線材を編んで作った

後、改めてヘアラインを入れているようです。実体顕微鏡で見ると、網目の奥の方に

カスが潜んでいるように見えます。超音波洗浄すると、いっぱい鉄粉が出てくるかも

しれませんね(^_^;


以上、トランスオーシャンユニタイムのレビューでした。安い買い物ではありませんが、

品物には満足していますし、他人と被ることもまずありませんので、所有欲は十分

満たされていますね。
イメージ 11



機能: 時、分、スモールセコンド(ストップセコンド仕様)、クロノグラフ秒針、30分積算計
12時間積算計、日付表示、ワールドタイムおよび24時間表示
ムーブメント: マニュファクチュールキャリバー05、自動巻き、C.O.S.C.認定クロノメーター
2万8800振動/時、56石、偏心ネジ付き緩急針、耐震軸受け(キフ使用)
グリュシデュール製スムーステンワ、パワーリザーブ約70時間、直径40mm、厚さ8.8mm
ケース: ステンレススティール製、両面無反射加工のドーム型サファイアクリスタル風防、
ねじ込み式ソリッドバック、10気圧防水