IWC MARK XV Spitfire PACHI
それでは、予告通り中華ETAを分解していきたいと思います。
裏蓋はこんなんです。文字盤とはミスマッチですが、気にしていません(^_^;
その裏蓋を取ります。中はこんな感じです。
一見、きれい目な機械が入っていますが、中華コピー品と思われます。
日の裏側です。地板の見えているところの表面が荒い感じがしますね。
分解を続けていきます。裏押さえを外すと小鉄車が見えますが、面取りが上になってますね。
これでいいんだっけ?使っていて別段問題はなかったので、これでもいいのかも。
ここまでは中華ETAもちょっと仕上げが粗いだけじゃんと思っていましたが、さらに分解を進めたら
やっぱり中華か、というところが出てきました。巻真まわりの部品群ですが、この中でもカンヌキと
そして表側に行きます。拡大するとアラがあちこちに。自動巻きの受けを止めるねじは黒くてツヤが
ありませんが、元は青だったのが腐食して黒色になってしまったと見えなくもありません。
自動巻きの裏側は、目立つアラはないようです。
金色の歯車は割ときれいですが、銀色の部品は削り一発でめっきしてるような感じで、
これが中華臭さを醸し出していますね。
その最たるものが香箱でしょう。これを見るだけで中華かスイスかが判別できると言っても
過言ではないと思います。
テンワ下の地板の刻印も本物をそっくりコピーしていますが、不鮮明不均一です。
香箱の中は、油っ気がありませんがきれいなので、ゼンマイは出さないことにします。
この時計では、大きな不満がひとつありました。それは、日車の数字です。特に3,5,9なんですが、
細くて、太さが均一でなく、不安定でよれよれ。見るたびに情けなく思っていました。
ただ、これは中華ムーブだからというわけではなくて、ETAを使ったスイスブランド時計でも見られます。
例えば現行ロンジンのスピリット、ボールウォッチのエンジニアハイドロカーボンなど。
確か、フォルティスもそうだったような記憶が。
ETA製の日車をそのまま使っているモデルなんだろうと思います。
日付のフォントが気に入らない場合、気に入ったフォントの日車と交換するか、書き換えるかのどちらか
になりますが、今回は書き換えにトライすることにしました。曜車の書き換えはやったことがありますが、
はたしてうまく行くかどうか。
まず、日車の内外径を測り、パソコンで同心円を作成。そこに31等分割の放射状の直線を描画。
EXCELでは整数の回転角度しか指定できないので、フリーのCADソフトを使いました。
その直線に合わせて1~31の数字を置いていきます。フォントはCOPPERPLATE GOTHICを選択。
結構時間をかけて作成しましたが、紙に印刷してみるとわやわやで、何もしないほうがいい感じなので
書き換えは断念しました。
大きく作って小さく印刷する方法をとりましたが、それがいけなかったのか、あるいは安いプリンターが
いけないのか、理由はわかりません。
さて、洗浄後組み立て開始です。地板にNOVODIACを取り付けます。取り付け方はダイヤショックと
同じですが、若干付けにくいですね。三つの角のうち二つ入ればあとは楽です。
輪列を取り付けていきます。
ザラ回しがOKだったらアンクルを付けて、角穴車、丸穴車を取り付けていきます。
テンプを付けて、表側はいったん終了。テンプのNOVODIACは、地板よりも取り付けが難しかったです。
バネを飛ばしたり、ルビーを飛ばしたりしました。
次は日の裏側です。巻真まわりですが、カンヌキやオシドリの座りが悪くて、ちゃんと組めたのかが
わかりにくいです。
一応、日車まで付きました。カレンダーの動作を確認します。
文字盤を付けて、針をつけます。
この後、巻真を抜いてケースに入れて、再び巻真を差し込むのですが、それがどうもうまくいかない。
ちょっと無理をしたら、お約束のオシドリ抜けになってしまい、余分な時間を浪費してしまいました。
ケースに入れて、この後自動巻きモジュールを取り付けます。
何とか完成しました。
使用頻度は多くなかったのですが手元に来てから7,8年、動きもちょっと怪しくなってきたということで
分解することにしたわけですが、中はまだあちこちオイルが残っている状態で、汚れもほとんど
ありませんでした。タイムグラファーの結果も分解の前後で大きな変化はありませんでした。
心残りは、日車です。機会があれば、またチャレンジしてみたいと思います。