MOERIS GRANDS PRIX 17J

MOERIS というのは、分解趣味を始めてヤフオクを漁るようになってすぐ目にするようになりました。

ごく普通の三針時計に見えますが、1000円2000円では落札できないので、ずっと入手することはありませんでした。

しかし、猫仙人さんとかとんぬらさんの記事を見て、ちょっと変わった機械であることがわかり、いずれはいじってみようと思っていましたが、ようやくGETすることができました。

私は時々とてもつまらないことが気になったりするんですが、このブランドでも気になることがありまして・・・

それは、"MOERIS"の読み方なんです。日本語ではモーリスというのが一般的なようで、それ以外の呼び方は見たことがありません。

ですので、私も今後日本語表記の場合はモーリスと書きますが、気になっているのはoeの読み方。

OEというのは、Ö (Oウムラウト、Oの上に横並びの点が二つ)が使えない場合の表記と認識してます。

発音は昔「オの口でエと言う」と習いましたので、それを当てはめるとカナ表記では「メ(ー)リス」となります。

我々になじみのあるメーカーで、メービスというのがありますね。このアルファベット表記は"MOEBIUS"ですが、この単語はメビウスとも読まれます。

メビウスの輪」のメビウスです。この場合はOEをエと読んでいるんですね。

アメリカ的には、ウムラウトは無視して読むのが一般的みたいなんで、アメリカなら「モウリス」と言うんでしょう。

結局、どれが正しいのかよくわかりませんが、メリスと言っても誰もわかってくれないことは確かですね。

つまらないことで縦長になりつつあるので、ここで話を変えたいと思います。


ということで、モーリスのグランプリ。
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外観はごく普通の三針ですが、ミニッツマーカーがドットだと、好感度がかなり上昇します。

裏蓋はこんな感じです。
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機械はけっこうきれいですね。一方の機留めネジが欠けてますが・・・
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ヒビだらけの風防を外したら、文字盤がけっこう傷んでいることがわかりました。でも、何もしません。
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日の裏です。特に異常はありません。筒車の下に見えているのが、この機械の見どころになります。
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日の裏車受けとでも言うんでしょうか、普通なら地板の一部の部分を分離式にし、地板との間に中心カナと伝え車を納めています。
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表側です。もうテンプを外しちゃってます。
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受けを外すと輪列が出てきます。とんぬらさんも書いているように、しっかりした歯車です。
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この機械は耐震装置がありませんので、受け石と穴石の間の掃除や注油をしっかりやろうと思うと総バラシしなくてはなりません。
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研究用以外でここまで分解したのは初めてです。ヒヤヒヤものです。


洗浄が終わりましたので、組み立てます。まず、地板に受け石を付けて注油します。
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裏返して、香箱・一番受け・輪列を組み付けました。
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中心カナがついていないせいか、四番車の座りが悪いです。伝え車もついていないので、ザラ回しが不完全。あっちを先にやった方がよかったかな。
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丸穴車の裏側ですが、吉車が噛み合う歯と角穴車が噛み合う歯が違います。
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このタイプは、セイコースーパーでも使われていました。わざわざコストをかけてこういう構造にする意味がよくわからないのですが、効果としては丸穴車、吉車の変摩耗による滑りが緩和される。

以前、セイコークラウンでしたか、巻いていくと滑ってしまうため、丸穴車と吉車をセットで交換した経験があります。

もう一つは、角穴車と噛み合う歯数が38、吉車の噛み合う歯は28なので、普通の構造の場合より38/28=1.357倍早く巻ける。

このためにコストを上げたり機械の厚さを増やしたりするのかという疑問は、もちろんあります。本当のところはどうなんでしょうね。

さて、丸穴角穴をつけましたが、まだザラ回しができませんので、日の裏に行きます。
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中心カナ、伝え車をつけて、受けを取り付けます。
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巻真回りを取り付けます。この後またひっくり返すので、筒車はまだつけません。
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分解したテンプを元に戻します。ひげ玉固定ネジが超音波洗浄中に受けから外れてしまったのですが、これを戻すのが一苦労。

また、天真が曲がっていたので修正を試みました。折ってしまうと悶絶するので、なんとなくまだ曲がっているかな、って感じでしたがそこでやめました。

アンクルを付けて爪石に注油して、テンプを取り付け。天真が真っすぐではない割には、ひどい姿勢差はないみたいです。(ひどくないだけです)
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ケースはめっきなので磨けません。サビを落としたらこんな状態。裏蓋だけ磨いてもアンバランスだということで、ベゼル・ケース・裏蓋は洗っただけ。風防は交換。
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機留めネジは、合うのがないのでそのまま。

ということで、完成。今回は手巻き三針でケースを磨かなかったので、作業時間はかなり短くなりました。
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文字盤側から見る限り、めっきはげは目立たないので、普通に使えますね。やっぱこの文字盤はいいな。