SEIKO BUSINESS-A 8346-7000 27J Cal.8346A

セイコーマチックはたくさんのバリエーションがありますが、マチック-Rとか-Aの、オーソドックスなデザインのモデルが好きです。

今回のモデルは、オーソドックスなデザインとは言えないかもしれませんが、琴線に触れるものがあったので、手を出してしまいました。
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針がいいんですよね。輪郭は普通のドーフィン形ですが、正面が平滑な鏡面仕上げ。とても高級な仕様という刷り込みがあります。
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欲を言えば、先端はもっとびしっと尖っていてほしかった。先がカットされていると、なんか変です。ヒエラルキーってやつなのか、デザイナーの考え方なのか。

風防が割れているせいなのか、それほど入札額が上昇することもなく、落札できました。

割れた風防をどうするかまでは深く考えておらず、手持ちの中でなんとかなるかと思ったんですが、外径が同じサイズのものすらなく、結局別途ヤフオクでの調達となりました。

ラグ幅10mmで、ケースブレスともくびれた形状になり、ブレスレット的な雰囲気があります。こういうデザインをビジネス向けモデルに使ったのは、当時、ビジネスの場面でも受け入れられていたからでしょうか、それともセイコーとしての提案だったのでしょうか。

ベゼル、ミドルケースの傷は少ないので、バフがけだけにしようと思いますが、裏蓋は傷多めなのでグラインダーを使うことにします。

ケースから機械を取り出します。Cal.No.は8346A。セイコーマチックオートデイターの8306Aに曜日と手巻き機能を追加したもので、より実用的な機械となっています。
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針と文字盤を外しました。曜車は機械と文字盤に挟まれているだけです。
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日の裏から分解していきますが、83系などの古い機械の分解が久しぶりのため、またやってしまいました。
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まず日車押さえを外す時に、曜躍制レバーバネを飛ばしました。その直後、日躍制レバーバネも飛ばしました。
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巻真周りを分解している時、日早送りレバーバネを飛ばしそうになりました。
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表側をやっている時には、テンプ受けのダイヤショックバネを飛ばしました。よく飛ばしましたねー大変よく出来ました。

ダイヤショックバネはどうしても見つからないのでジャンクから移植。それ以外は見つかりました。

日の裏の次は表側です。この機械はローターと角穴車の間に介在する部品が多いですね。
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自動巻きのキモ部品を、切替車と呼ばずに反転車と呼ぶのも特徴です。

以前載せたと思いますが、これが反転車を含む83系の自動巻きの動きです。
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輪列は秒カナを採用した中三針式。
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香箱のチェック。スリッピングアタッチメントの滑り方に問題はないので、香箱を開けてみて異常がなければ、また香箱真周りのみ清掃することにしました。

チェック結果、ゼンマイは出さないことに。
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洗浄後、組立開始。地板にダイヤショック、ダイヤフィックス各1を取り付け、注油をします。
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うまく注油できていたらひっくり返して輪列を取り付けます。香箱、二・三・四番車、秒カナ、自動巻きの車をセットします。
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反転車はホゾ以外絶対注油するなと書いてありますので、それに従います。そして受けをかぶせます。

しかし、一部が浮いてしまい、どうしても受けを取り付けることが出来ません。

かなり悩んだんですが、結論は、三番車と三番車によく似た自動巻きの減速車が入れ替わっていたことが原因でした。

歯車とカナはうまい具合に噛み合っていたので、発見が遅れてしまいました。分解時の写真の確認が間違っていたようです。

過去にやった83系の写真を見て、ようやく間違いに気づきました。

並べなおして受けをかぶせたら、一発で決まりました。受けには予めダイヤフィックスの石とバネをつけ、注油してあります。
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ザラ回し後、アンクルをつけて動作チェックし、爪石に注油したらテンプを取り付け。
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続いて日の裏側を組み立てていきます。分解する時にはあじあじゃしましたが、組立はスムーズに行きました。
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針と文字盤をつけて磨いたケースに入れます。
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ヤフオクで調達した風防は、外径内径こそ同じだったものの、もともとついていたものより厚く、テンションリングは文字盤に合っていない。

厚いのは、薄過ぎるよりはいいのですが、テンションリングはまずいので、もともとついていたものを使いました。

未使用風防は挿入が固いので、注意が必要です。過去に気を使わず圧入したら割れたことが2度ほどあるので、3回目にならないよう、慎重に作業しました。

完成です。メッシュブレスは社外品と思っていたら、バックルの裏にSEIKOと書いてありました。このモデル用かどうかは不明ですが。
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83系もいい機械ですよね。5振動ですが、日付は竜頭で早送りできるし、曜日も針の送り戻しで早送りできますので、実用性は十分だと思います。