RADO Golden Horse Sapphire 25J ETA 2824

忙しい方に、本日の概要

その名の通り、風防はサファイアクリスタル。

機械はETA 2824だが、ペルラージュあり、秒針規正あり、トリオビス緩急針装備の高級仕様。

文字盤はやや残念なことになっているが、その他は特に問題なし。

文字盤6時の"RADO WATCH"は、スイス以外の国で生産されたことを表すらしい。

ベゼルとミドルケースが別部品であることは確かだが、分解の仕方が不明。コジアケで開ける仕様ではなさそう。

分解はあきらめ、バフのみでポリッシュした。

機械の分解組み立ては特に問題なく推移し、無事作業完了。

後は画像を流し見してください。

ということで、今回はラドーのゴールデンホース サファイア

ケースは比較的きれいな状態なので、ガラ箱の中で揉まれて来たわけではなさそうですが、それでも風防に傷がないのは、さすがサファイアということでしょう。
イメージ 1
イメージ 2


風防の材質を表示するとしたら、メーカーの諸元表では「サファイアクリスタル」と書いてあるのが一般的です。

サファイア」だけだと宝石と間違える可能性がありますが、「人工サファイア」と書くとありがたみがないので、結晶を意味するクリスタル(元々は水晶のこと)をつなげているのでしょう(推測)。

いろいろなサイト等を見ていると、サファイアガラスとか、ごていねいにサファイアクリスタルガラスとか書いているところが見つかりますが、ガラスは結晶化せずに固化した物質のことをいいますので、大きな単結晶である人工サファイアをさす言葉としては変です。

しかし、「クリスタルガラス」というのが高品位のガラス製品をさすことばとして一般化しているので、しょうがないのかもしれません。

あまり小うるさいことを書くと嫌われますかね。「わかりゃいいんだよ!」って声も聞こえてきますが、用語の意味とか定義を多少なりとも知ることは必要なんじゃないかなと、個人的には思います。


それはともかく。機械はETA 2824。受けにペルラージュ仕上げがしてあり、秒針規正付き、緩急装置はトリオビス。高級バージョンですね。

分解前の動作には大きな問題はありません。
イメージ 3


文字盤がちょっと残念なことになっていますが、ここには一切手を付けません。
イメージ 5


文字盤の6時付近には、通常"SWISS MADE"と書いてありますが、この時計の場合は"RADO WATCH"と書いてあります。

これはSWISS MADEの基準を満たさなかったためだそうです。ネットによれば、香港にも工場があったとかなかったとか。


ケースの傷は多くないものの、作業のしやすさの観点で分解を試みましたが、分解の仕方がわかりません。

ベゼルとミドルケースが別部品なのは確かですが、コジアケの差込口は見当たらず。

セイコーのG構造ケースのように内側から抜く構造でもないようです。

おそらく、風防を外すとベゼルが外せるようになるのではないかと推測します。

しかし、風防の固定方法がよくわからない。テフロン樹脂リングの固定であれば隙間からリングが見えるはすですが、それが見えない。隙間もほとんどない。

接着剤でくっついている可能性が高いです。無理に風防を取るのはリスクが大きいので、やむを得ずこのままバフがけのみでポリッシュすることにしました。

エッジを出来るだけ維持するため、傷取りではなく曇り取りをするイメージで、特に白棒での作業時間は極力短くしてピンク棒で仕上げ。

裏蓋の模様も、前回のエルジン同様浅いので、こちらも曇り取りレベルで切り上げます。


針と残念な文字盤を外し、日の裏から分解していきます。

曜日表示を除けば、前回の2789に似ていますが、日車の厚さ、日送り車とカレンダー早送り車などが違うだけのようです。
イメージ 6
イメージ 7


次に表側を分解。こちらは、ハックレバー、トリオビスの有無を除けばアンクル受けが違う(土手ピン機能内蔵型)だけみたいです。
イメージ 8
イメージ 9


ちょっと、部分的に油脂が多いところがあります。一番ひどかったのは自動巻きの受けです。これでは巻き上げ効率はかなり低いでしょう。
イメージ 4


香箱ですが、スリップチェックをしてみると、かなりいい感じで滑ります。これも、ゼンマイは取り出さず、香箱真のみ洗浄とします。
イメージ 10


洗浄したら、組み立てます。基本的に前回の2789と同じですし、部品破損や紛失などのトラブルもありませんでしたので、粛々と組み立てていきます。
イメージ 11

イメージ 12

イメージ 13

イメージ 14

イメージ 15

イメージ 16

イメージ 17

イメージ 18


ケースに入れて完成です。
イメージ 19


オーソドックスなデザインがすてき。
イメージ 20
イメージ 21


ベゼルが外せなかったのでバフがけのみのポリッシュでしたが、元々傷が少なかったこともあり、思ったよりきれいになりました。