RICOH AUTOMATIC 21 JEWELS WATERPROOF

今回は、あまり相性の良くないリコーの自動巻きです。webではRICHOと書いてあるのをよく見かけますが、気になって仕方がありません(^_^;

リコーと言えば、ダイナミックとかワイドとかエイトなどのモデル名がありますが、この時計はそれらしきものがどこにも書いてありません。

文字盤に双頭の鷲?のエンブレムがありますので、輸出用かもしれません。
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大きな傷はありませんが、風防は経年変化で多数のヒビ(横から見るとよくわかる例のやつ)、裏蓋は細かい擦れで文字が見にくくなっています。
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ケースがまん丸なので、ケースホルダーで掴めず、裏蓋を開けるのに難儀しましたが、さび付いてはいなかったので何とか開けられました。状態は不動ですが、中はきれいですね。
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機械をケースから取り出し、針と文字盤を外します。干支足ネジが一本しかありませんでした。後で似たようなのを探してあてがうことにします。
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固定されておらず、湾曲座金もなかった曜車を外します。曜躍制レバーバネが危険な香りをぷんぷんさせています。ここは外さないことにしましょう。
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日車の下にあった押さえを外したら、その下がバラバラになってしまい、どう組まれていたかわからなくなってしまいました。
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構造的には日送り機構のようですが、二時位置に日送りボタンがないので、死蔵された機能か?

しかし、巻真の動きと連動しているようなので、オメガのCal.564みたいな竜頭を引くと早送りができるやつかな?

どうもそれっぽいけど、どうなっていたのか、しばらく考えてましたがわからないので後で考えることにしました。この時は、欠品があるのかもしれないと思ってました。


表側に行きます。リコーは自動巻きにずっと切替車を使わなかったようですね。この機械もスイッチングロッカー式です。
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どんどんばらしていきます。
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輪列です。並び方が他社とちょっと違ってるようですね。
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三番車を外したら、下に何か異物が。よく見ると干支足ネジでした。足りないネジが見つかったのと、不動の原因がわかった瞬間でした。
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香箱は、中が大変きれい。
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しかし、スリップチェックすると巻き上がりがよくわからない。そこから戻すと4周くらいで止まります。

香箱と二番車のカナの歯数を数えると、それぞれ70、10なので、香箱一周で7時間。いっぱい巻いて4周ということは、このままではパワリザが28時間くらいということに。

ピンクページでは37時間ということになっていますが、だとすれば5周以上は巻けないといかん。

ということで、ゼンマイを取り出すことにしました。今回初めて認識したのですが、リコーの香箱も内周にノッチがあるのですね。ただ、ETAシチズンより少ない4本でした。
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部品の洗浄が終わったら組み立てです。

香箱は、内周にD5を二か所、ちょびっとだけ塗布。でも、これでもスリッピングアタッチメントの滑りが多めのような気がします。

スリップする直前から戻していくと約5周半弱、スリップ直後だと5周弱。まあ、これでよしとしましょう。

そして緩衝装置を付けて注油し、輪列を乗せていきます。
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受けをかぶせ、ザラ回しがOKだったらアンクルを取り付け。丸穴車、角穴車を組み付けます。
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自動巻きの部品も取り付け、受けをかぶせます。
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テンプを取り付け、緩衝装置を取り付けたら表側はとりあえず終了。日の裏に行きます。
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一通り部品を付けた後、日付早送りの部分をもう一度検討します。あーでもない、こーでもない、そして最終的にこれが正解だ!というのが出ました。
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日車つけて
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曜車つけて。カレンダー動作をチェックして問題ないので文字盤と針を取り付け。ケースに入れてローターを取り付けます。
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元々ついていたブレスのクラスプにはWマークがあって、最初ウォルサムかと思ったんですが、よく見たらダイナミックワイドのWマーク。

また、長さもジャンク品の割には長くて、私の手首にそのまま対応できるので、とりあえず入手時の組み合わせに。
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デザイン的にはダメダメな組み合わせのようですが。汚れも落としきれてないし(^_^;

裏蓋は平坦度が悪かったので、文字が消えないように傷取りするのに気を使いました。
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でも、全体的には、うまくいった方ですかね。


気になる初回使用でのパワリザは、34時間でした。

他社の製品と比較すれば短いけれど、仕様上40時間もたないリコーならこんなものでしょうかね。