CITIZEN CUTLASS AUTOMATIC 27 JEWELS
というわけで、今回はシチズンのカトラス27J。
機械は33石のNo.が5260だというのはわかりましたが、27石のNo.がわかりませんでした。
クリスタルセブンと同じものと思ったら、微妙に薄型化されたもののようです。
薄いと言っても、クリスタルセブン(520X)の4.48mmに対し4.34mmと、わずか0.14mmの差ですが、完成品としても薄さを強調したドレッシーなデザインのモデルも多かったようです。
我が家にあるカトラスは、30石のカレンダーなしとこのトノー形ですが、どちらも薄さを意識したデザインであることがわかります。
とは言え、この外観ではドレッシーさは感じにくいですね・・・
ちょっと変わったデザインだったのと、カトラスの風防が余っているので、それが使えるかな?という理由で、わざわざ風防の割れたやつを落札したのでした(^_^;
振るとカタカタ音がするので、ローターが外れているのだろうと思って裏蓋を開けたら、確かに外れてましたが、ネジが緩んだのではなくてベアリングが壊れていたためでした。
まず、外装から手を付けました。ケース正面は横のヘアラインが入っていますが、これを自然なまま修復する技術を今のところ持っていないので、ここは手を付けず、洗っただけ。
サイドと裏蓋のみ、いつも通りに磨きました。
そして、風防交換です。結果的に、「カトラス」と書いてある風防は合いませんでしたが、次の写真のものが形状・寸法的に合いそうでした。
スポーツマチックシーホースでは、取り付け時にやっちゃいましたので、今回は慎重に行います。
顕微鏡で確認しながら、風防の最大径部分がケースに乗り上げないよう、面取りを入れます。そして圧入。
大きな音がしたのでヒヤリとしましたが、破損なく取り付けられました。
次に機械の分解です。針、文字盤、曜車を外しました。このころの機械の日の裏は、線バネを多用しているのでやっかいです。
分解しながら数えてみますと、日の裏だけで6本のバネが使われていました。すべてが飛んで見つからなくなる可能性を秘めています。
①のバネは外さなくていいかな、と思ったんですが、もし曜躍制レバーが外れたら飛んでいくので、そうなる前にやむを得ず外すことにしましたが、お約束。
しっかり飛んで見つからなくなりました。部品取りのクリスタルセブンにも、うまい具合にこのバネがついてなかったので、似たようなバネを探してきて、先端を曲げて代替品としました。
次に表を分解します。実は、この個体にはもう一つ問題がありました。ひげゼンマイが変形しているんです。
部品取り用のクリスタルセブンのひげゼンマイも、同じように変形しているので、久しぶりにひげ修正を実施しました。
香箱内は、きれいとは言えないレベルですが、スリップ具合は滑り過ぎないという意味では良好でしたので、主ゼンマイ取り出しはやめました。
ローターはまるごと替えます。これは、部品取りドナーから取れました。
洗浄後、表から組み立て開始。輪列を取り付けます。時代の変遷に対し、日の裏はかなり大幅に変化していますが、表側は秒針規正周りが違うだけで、自動巻きを含めてあまり変わっていません。
一通り組みあがりました。
しかし、テンワの振れが今一つ。だめかなあ。とりあえず、テンプは後でもいじれるので組み立てをしちゃいます。
バネの紛失に注意しながら、組み付けていきます。なんだかわからないけど、えらく時間がかかったような気がします。
2日間、畑仕事をしたためか、ピンセットで部品をつまんで作業していると、親指や人差し指がきゅーっとつります。そんな指を伸ばしながらの作業でした。
だからというわけではないですが、今回の写真は手ぶれが多いです。ご了承ください。
それと、輪列受けのネジに長さ違いがあって、本来短いところに長いのを入れると大変なことになるのは覚えていたので注意したのですが、同様のことが日車押さえにもあったのでした。
日車押さえのネジは3本ありますが、一本だけ短いのです。外す時にも取り付ける時にも、あまり気を使ってなかったため、短いのを使うところに長いのを入れた結果、その裏にある角穴車を押してしまい、竜頭を回しても手巻きができない状態になってしまいました。
画像の矢印のネジが本来短いものを使うところです。
後遺症がないのでよかったですが・・・今までどうしてたんだっけ?たまたま無事だったのかな。
そして最後の関門。全然振れないテンワを何とかしなければなりません。
Watch Repair Channelのひげゼンマイ修正動画を見て復習しw、作業開始。テンプからひげゼンマイ付きテンワを外し、さらにテンワとひげゼンマイを分離します。
らせんの修正は比較的楽なのですが、ねじれの修正がやっかい。動画のサンプルのように問題個所がはっきりわからないので、どこに手を付けていいのかわからないんです。
それでも何とか修正が終わり、組み直してタイムグラファーに掛けました。当然、とんでもないグラフが出ます。
直るのか、このままか・・・ 不安を抱きながらひげ持ちが固定されたアームをぐいっと動かしました。
すると、歩度が-500秒ではあるものの、片振りが調整可能範囲になり、グラフは直線に。
さらに調整を続けた結果、自分で修正したひげゼンマイとは思えない結果となりました。たまたまかもしれませんが、満足。
★この辺の作業は、精神的にまったく余裕がない中で行われましたので、画像が1枚もありません。
ということで、幾多の難関を乗り越え、完成しました。
針が薄く、間隔も狭いのに針当たりも発生してません。バネを1個飛ばしたこと以外は、割とうまくいった方かなあ。