TECHNOS SKYBIRD AUTOMATIC

テクノス スカイシリーズ第五弾は、スカイバードです。

しかし、今回はほんとに参りましたよ。こんなにいやになったのは、覚えている限りでは初めて。

忘れてるだけかもしれませんが。



外観はご覧の通りやれ気味。ガラス風防は縦三面で傷多め。
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メダリオンはだいたいついてないですね。
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ケースはポリッシュではなかったろうと思いますが、全面サンドブラストなのかヘアラインなのか、ヘアラインなら縦なのか横なのか、全然わからない状態。

そこで、勝手に縦ヘアラインで仕上げることに決めました。

ベゼルを外すと、風防の下にガスケットがありました。半周硬くなっているので、出来れば交換したかったんですが、いいサイズのOリングがなかったので、そのまま使うことにしました。

風防は、いつものように金剛砂で傷取りをした後、包丁研ぎ機で磨きます。


文字盤です。ところどころ白い腐食があるものの、状態は悪くありません。今までのスカイシリーズは、文字盤のアプライドの☆が付いていましたが、このモデルは付いていません。

カレンダー窓が縦で6時位置にあるので、付けたくても付けられないことはわかります。星よりも縦形カレンダー窓をつけたかったんでしょうね。

また、ケースから出してみてわかったんですが、インデックスの白はペイントではなく別部品でした。
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ベースのめっき部品に掘られた溝に、白い部品(樹脂か鉱物か不明)がはめ込まれています。凝ってますねー。ポイントが5%アップしました。

次に機械です。入っていたのはETA2638。日の裏側から分解していきます。
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曜車押さえがあって、裏を見ると曜躍制レバー、バネがASSY化されてます。
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瞬間送りでもなく、秒針規正もカレンダー早送りもないので構造自体は簡単です。
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ひっくり返して表側を分解します。こちらもごく一般的なETAの構造です。どんどん分解します。
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香箱チェックではセイコーの香箱のような滑り方で、最大限のパワリザが得られそうな気がしたので、香箱真のみ外して洗うだけにしました。
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日の裏をやった時、地板のインカブロックを分解しましたが、ちょっと手が滑ってバネが斜めに。慎重に戻そうとしたところが思うように手が動かず、バネを外してしまいました。

何度か復元を試みましたが、うまく行かないのでインカブロックのベース部分を地板から外し、バネを取り付けて戻すことにしました。

しかしその作業中、つまんでいたピンセットがバネを飛ばしてしまい、結局帰らぬ部品となってしまいました。

幸いなことに、復活の難しい2638があったので、ドナーになってもらうことに。

最悪の事態は免れたかに思えましたが、これがケチの付き始めでした。


洗浄後、組み立てを始めました。輪列を並べます。
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受けをかぶせ、角穴車、丸穴車をつけてザラ回し。アンクルを付けてアンクルチェックがOKなのでゼンマイをちょっと巻こうとしたら、コハゼが掛からず角穴車が戻ってしまいます。

コハゼを丸穴車に押し付けているバネが弱い感じなので、外して広げてみることにしました。

外したところまではいいのですが、それをピンセットでつまんで広げようとしたら、ピン!! と飛んで行ってしまい、帰らぬ部品となりました。

やむを得ずドナーからもらってきます。これはちゃんとコハゼを丸穴車に押し付けてくれました。

次にテンプを取り付けました。ちょっとゆすったらテンワが振動し始めましたが、どうも動き方が変です。

その状態でインカブロックを取り付け、バネをかぶせようとしたら全然入りません。天真が出っ張り過ぎているようです。

交換した地板側のインカブロックを押し込み過ぎたのかと思い、いったんテンワを取り外し、顕微鏡で見てみました。すると!

何やら金属の細い破片が穴石の中にあるのが見えました。天真折れ!? 何それおいしいの!?

こんなに簡単に折れるもんなの? とぼうぜんとしつつテンプを顕微鏡で見てみると、折れてないじゃん!!

じゃあ、あの破片は何よ?

地板の穴石、受け石を外して洗い直し、再度取り付け。あの破片はどこかへ行ってしまいましたが、おそらくあれはオートオイラーの先端ではないかと思います。

過去に2度ほど、オイラーを落として先端を曲げてしまい、そのたびに修正して使ってきたので、それが今回折れてしまったものと思います。

今回の注油では、なぜか手の震えがひどくて、変な力が入ったような記憶がありますので、その時かな。

そんなことがありましたが、今度はちゃんと組み立てられました。
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日の裏側も、飛んでいきそうなバネがひとつありますが、こちらは何とか飛ばさずに組み立てられました。
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ここまでやって、部品の付け忘れが判明。日車の受けみたいな部品です。また日車を外さなくてはなりません(;_ ; )
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これをクリアして、針と文字盤を付けて、ケースに入れて、自動巻きモジュールを付けて。
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ふうー、何とかここまで来ました。次に装着準備のため日付を合わせようと針を回していたら、なんだか変。

曜日は進んだり戻ったりしますが、日付はずっと同じ。変わると見せかけて、戻っちゃう。文字盤取り付けの前のチェックで見落としてしまったようです。

このままじゃどうにもなりませんので、またケースから出して針と文字盤と曜車を外して・・・動作確認をしてみました。

すると、送り車の爪が日車の内歯を押していって、内歯が躍制レバーを乗り越える直前に、内歯が送り爪の下に挟まってしまうのを確認。
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この状態で日車を外したら、送り車がくっついてきました。
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爪の先端を叩くなどしてやれば復活するとは思いましたが、ドナーがあるのでそちらから提供を受けることにしました。

今度はちゃんと日車を送ることを確認して、文字盤と針を取り付け、ケースに入れました。

こうして、ようやく完成しました。長かった・・・
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風防は深い穴傷が二個ほど取り切れませんでしたが、こんなもんですかね。

今回は、部品の組み付け作業において、ちょっと思い通りに行かないっていうか、異常が頻発しました。

部品のトラブルは仕方がないとして、なんかチョンボが多かったですね。早く組み上げたいという焦りがあったのは確かですので、次回は落ち着いてやりたいと思います。