TECHNOS Polaris ETA 2632

ここしばらくの傾向として、「セイコー」・「その他国産」・「海外」の分類で回していますが、海外でテクノスが出てくることが多いですね。

理由はないです。

今回は、スカイシリーズではなくて、ポラリス。ラグが角のような一般的形状ではなく、バネ棒が裏に隠れるタイプ。

こういうの、なんていうんですかね。正直言って、あまり好きな形状ではありません。

文字盤も、色は紫系で、表面は放射状のしわしわ模様。あまり好きじゃありません。

なんでこんなの落札したんだろう。
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やっちゃったことは仕方がないので、いつも通りやりましょう。

裏蓋を開けます。テクノスの時計は、裏蓋の裏に搭載している機械のNo.が刻印されていますが、この時計は2824と2632が彫られています。
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こういうのは、確か初めてですね。実際に搭載されている機械は2632ですが、2824を載せたモデルもあったということですかね。

それはたぶんポラリスではなく、これと同じケースで2824を載せた違うペットネームの時計だった可能性があると、根拠なく思います。

単純に、裏蓋のみ共用しているだけかもしれないけど。


さて、その2632はけっこうきれいで、光ってます。よく見る機械でも、きれいだと気分がいいですね。
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ケースから機械を出して、まずケースと風防を磨くことにします。ベゼルはありませんので、多少楽ですかね。

この時気が付いたんですが、風防の裏側真ん中に、Tマークが印刷されてました。プラ風防だと、オメガやラドーなんかが浮き出しマークをつけてますが、ガラス風防でこういうのは初めて見ました。
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ケース正面の6時、12時の面は、ほとんど消えかかってますが、どうも放射状のヘアラインだったようです。

目の粗いヘアラインは、私の技量では再現ができないのですが、かといってポリッシュすると全体がピカピカになってしまい、下品です。

そこで、ヘアラインにトライすることにしました。


まず、風防を外します。樹脂リングで固定するタイプですが、樹脂リングがケースの溝にはまり込み、真上から見るとケースと風防の間にリングが見えない構造になっています。

手が込んでますね。

文字盤も、スカイバードと同様、インデックスの白い部分がプリントではなく、別部品を組み合わせています。ポラリスは、ランクとしては上位のモデルだったんでしょうか。

風防は9面カットですが、傷がそこそこ入っているので、金剛砂で傷取りをやります。ただ、各面の面積が小さいので、あまり念入りに傷取りをするとエッジがずれる可能性があるため、控えめにします。
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傷取りが終わったら、包丁研ぎ機で仕上げます。傷取りを控えめにしたため、取り切れない傷が出てしまいました。また、磨いている時はちゃんと出来たと思っていても、完成してみると磨き残しが見つかります。

やり直す気力は出ませんので、そのままにしますが・・・


ケース正面のヘアラインですが、今回はダイヤモンドやすりにケースを擦りつけるやり方で入れてみました。結果は、成功とはいえない状態になってしまいました。

ダイヤモンドやすりより、紙やすりの方がよかったかな。次回はそうしてみよう。

今回、裏蓋も青棒を使って研磨しましたが、刻印の中に入ったものが歯ブラシ洗浄で取れてしまったので、BF-20は使えませんでした。

その代わり、別のところで試用してみました。それは後ほど。


ケース・風防が終わりましたので、次は機械です。何度もやってますので、さらっと行きます。
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機械は全体的にきれいですが、丸穴車の下は汚れがこびりついています。こういう汚れは、ベンジン等の中で刷毛洗いしないと落ちないものです。
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ここでBF-20の登場です。もし、BF-20がバフカス落としを謳っているなら、この程度の汚れは落とせるはず。

ということで、一番受けだけBF-20に入れ、超音波洗浄してみました。約9分間かけた後、流水ですすいだところ、肉眼では汚れの残留が確認できませんでした。
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意外に効果があるかもしれません。今後の作業でさらに確認したいと思います。

香箱は、スリップチェックの結果、やや油切れ気味ですが、滑り量が許容ぎりぎりのため、このままにすることにしました。香箱真まわりは洗って注油します。
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この機械、きれいなんですが、一度は分解されている雰囲気があります。それはいいのですが、気になるのは受けのネジが完全に締まっていないこと。

さすがに丸穴車、角穴車のネジは締まってましたが、たまたまではなく、意図的に締めてない感じなんです。

今から6,7年前まで存在した、某時計材料販売サイトに掲載されていたオーバーホール作業で、「受けのネジは完全に締めないでおくのが正しい。

わかる人はわかる」みたいな記述があったのを思い出しました。


洗浄は、ベンジンで予洗いした後、PMC-10で超音波洗浄し、すすぎ・乾燥させます。

そして組立。こちらもさらっと。
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文字盤・針を取り付けます。文字盤はめっき部分にちょっと曇りがある程度で、かなり状態がいいです。あまり好きな色ではありませんが。針もきれいです。
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ケースに入れて
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完成です。
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風防裏のTマークは、あると知っていないと完成状態では気付かないかもしれませんね。


さっそく使用してみたのですが、パワリザは驚きの52時間。何かの間違いかと思ってもう一度使ってみても、48時間。

ローター軸受けがボールベアリングであることを考慮しても、手持ちの古いETAの中ではトップクラスのロングパワーリザーブです。

こいつとパワリザが短い2632とを詳細に比較すれば、どこに問題があるのかわかるかもしれません。