ROLEX DAYTONA と書いてある時計2

今回は、ひょんなことから手を付けることになった7750魔改造時計の分解記事です。

以前、知り合いから頼まれた、同タイプの時計を記事にしました。

記事は「修理完了」で終わっていたと思いますが、実はその後12時間計が帰零しないトラブルが再発しました。

いろいろいじって何とかズレが発生しなくなるところまで行ったら、今度は時計自体が動かなくなってしまいました。

何度も開け閉めしている間に、どこかにホコリが入ってしまったのかもしれません。

だいぶ間は空いてしまいましたが、そちらが一応解決しましたので、勢いでもう一個やっつけることにしました。


今回のモデルは黒文字盤。
イメージ 1


文字盤以外に違いがあるかと探したら、ケースのサイドの形状が明らかに違いました。

ベゼルの数字の書体も違いますね。

また、ラグ間に刻印されているRef.番号は違いましたが、シリアルは同じでしたw


分解の前に動作チェック。竜頭を緩めて、巻き上げてみます。時々空回りするのが気になります。

後に分かったのですが、内部の問題ではなく竜頭の不具合みたいです。

で、かなり巻き上げたのですが、秒針がぴくりとも動きません。これはちょっと手ごわいかも・・・


機械は、以前やったW家の家宝と違ってペルラージュやコートドジュネーブが施されてます。
イメージ 2


ローターはコートドジュネーブに加えて文字やマークが刻印されていて、見た目はこちらの方が上です。


では分解です。

まず、針と文字盤を外します。続いて魔輪列押さえを外します。すると魔輪列が姿を現します。
イメージ 3


しかし、一枚だけ、押さえの裏側に張り付いていました。取ろうとしたら、かなりがっちり固着しています。
イメージ 4


ここはできるだけ軽く回らなければならない歯車ですが、それがこんな状態では、動くはずがありませんね。

裏表も逆のような気がします。実際、この歯車が外れたことで時計が動き始めました。

歯車を戻して記念撮影。やっぱり壮観ですね。前にやったW家の家宝と同じ構成みたいです。
イメージ 5


上記以外は違いはなさそうですので、どんどん分解していきます。
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9


香箱内部は比較的きれいでしたが、滑りがあまりよくないような感触だったので、洗うことにしました。
イメージ 10


ゼンマイを取り出してみると、中にははがれためっきカスのようなものがけっこうありました。
イメージ 11


分解して正解でした。

分解洗浄後は8200改(メービス8200+モリブデン粉末)を塗布して組立。

イメージ 12


すべての部品の洗浄後、地板にインカブロックを取り付けて注油するところから組立開始。

表側から組み立てていきます。
イメージ 13
イメージ 14
イメージ 15
イメージ 16


自動巻きクロノグラフということで、部品がたくさんあるように感じますが、ある程度慣れてくるとむしろ少ないと思えてきます。

特に問題なく、順調に組み付けていきますが、いつも手間取るのは自動巻き受けの取り付けですね。
イメージ 17


ただ被せるだけじゃなくて、受けから出ている軸を自動巻きの伝え車に挿しながらやらないといけないんですが、いつも一度じゃ決まらなくて、秒クラッチ(Technical communication上の名称はClutch 60s. 2 functions、スイングピニオンを振る部品)や切換車を付け直すはめに陥ります。

ですが、今回の試行錯誤の中でちょっとやりやすい方法が見つかったので、次回以降で試してみたいと思っています。


次に日の裏側です。巻真周りを取り付け。
イメージ 18


12時間計周りを取り付けます。リセットハンマーのバネの取り付けがすごく苦手だったんですが、コツがわかってきました。

四番車の軸に、6時秒針へ向けての動力伝達用歯車を取り付けておきます。30分計の軸にも歯車を圧入。
イメージ 19


そして魔輪列受けを取り付けます。受けの裏側にはめ殺しの歯車があって、これが四番車に圧入した歯車と噛み合いますので、乗り上げないように注意。

魔輪列を取り付けます。各歯車の裏表はこれが正しいと思います。
イメージ 20


魔輪列の、どこにどう注油するかは悩ましいところです。金属同士が擦れているので、常識的には潤滑が必要です。

しかし、その潤滑油によるフリクションが、求める動作を阻害する可能性があることと、大きなトルクを伝達するわけではないことから、ここは無給油で行きます。

技術解説書があるわけじゃないので、異論は認めますw

魔輪列押さえをかぶせ、一段落です。気分的にはようやく半分まで来たという感じです。
イメージ 21


普通なら文字盤、針をどんどんつけていきますが、この時計の場合はちゃんと動くことを確認しながら進めなければなりません。

まず、クロノ秒針だけ取り付けて(軽く乗せるだけ)、クロノを起動して放置します。問題がある場合、いずれ止まります。

幸い、ほぼ一昼夜放置して動き続けていたので、次の段階に進みます。

文字盤と12時間計の針を取り付けます。これで12時間計のリセットに問題ないかの確認を繰り返します。

問題なさそうですので、残りの針を本挿しします。念のため、ケースに入れる前にも放置して様子を見ます。
イメージ 22


ここまで問題なし。ようやくケースに入れます。
イメージ 23


この後、自動巻きのパワリザ確認を含めて総合確認をやりますが、ほぼ完成でしょう。
イメージ 24


だがしかし!何と衝撃の事実が!!      (続く)