TECHNOS SKYBIRD ETA 2632
魔改造7750の不具合がまだ完全には解決していない状態ですが、気分転換あるいは充電のため、次の時計に着手しました。
今回はテクノスのスカイバードです。文字盤色違いでデイデイトを以前やっていたと思います。
外観はそれほどひどくありません。文字盤の変色がちょっと気になる程度。
裏蓋のメダリオンも残っています。
ただ、竜頭がスカスカで、巻き芯が空回りしているような感じです。
ガラス風防は、やや傷多め。研磨はMUSTです。
よく見ると5面カットですが、中央の両側の面が狭く、角度もあまりついていないので、面の維持は厳しいかも。
外周が多角形になっている、手のかかった形状ですが、ここは気にしなくてよさそうです。
裏蓋を開けてみると、竜頭がスカスカだったのは、巻真がさびて切れているためとわかりました。
巻真はチューブの中でさびて固着しており、抜ける気配がありませんので、ケースに入れたまま機械を分解することにします。
地板と巻真だけになっても抜けませんので、巻真を曲げて地板を抜きました。
分解が終わったところで、サビのひどい部品をビザーW液に漬けます。巻真も何とか抜けました。
次に、巻真の調達です。搭載ムーブメントはETA2632。
手持ちのジャンクの中に2638がありましたので、そこからもらいます。
曲がった竜頭がついていたので修正を試みましたが、折れましたw
そこで巻真だけをもらい、竜頭は元々ついていたものを使用することにします。
ただ、折れた巻真が入ったままですので、それを除去しなければいけません。
力技で抜くのは最初から諦め、化学の力を使います。
最初は竜頭全体をバッサン液に漬けたのですが、巻真がほとんど減らないのに竜頭先端が変色してきたので、巻真部だけにバッサン液を塗布。
顕微鏡で見ると、ブツブツと泡が出ているので、これを続けることにしました。
最初から長期戦を覚悟していたものの、ある程度溶けたら残りがぽろっと取れると思っていました。
しかし、最後まで頑固に残っていて、結局妥協点に達するまで約3日かかりました。
そんなことをやっている合間に風防とケースを磨きます。
まず風防ですが、最初は5面維持を諦めてスタートしました。
しかし、途中で幅の狭い面の研磨を試してみたら、意外にいけそう。
ということで途中から方針変更しましたので、すげー変な状態になってしまいました。
しかし、傷はだいたい消えたので、実用上の問題はあまりないかもしれません。
ケースの方は、ベゼルと裏蓋はいつも通りの磨き方。
ミドルケースは、元々が長手方向のヘアラインだったようなので、スポンジやすりで擦ります。
この方法は手作業感ありありの結果になるので、他にいいやり方がないかと考えているのですが、今のところ思いつきません。
分解した部品を洗浄してから組立開始です。組み方は2824とほとんど同じですし、似たような機械は今までたくさんやってきていますので、さらっと。
香箱は、油分がまったくない状態でスリップ時にきしむ感じがある程度だったので、油をつけたら滑りすぎるだろうという予測はありました。
しかし、潤滑無しというのはやっぱり抵抗があったので、一番さらさらな9010を塗布してみました。
ゼンマイを入れてチェックしてみると、やっぱり1周くらい滑ってしまいます。でもいいや。このままにします。
下ごしらえができたところで組立開始。
いつも通りインカブロックを取り付けて注油。
しかしこの時、予期せぬことが。
オートオイラーを挿し込んだところ、先端がカクッと奥に入っていきました。
あれっ!?いつもと違う感触だったので裏側を見たら、石が落ちていて、さらによく見るとバネの片側が折れていました。
なにー?これは初めての事象です。洗い方がまずかったのか、強く押しすぎたのか。
とにかく、このままでは先に進めませんので、また2638から部品をもらって交換します。
その後は、だいたい順調に作業が進みました。
まず表側を組み立てます。受けにサビが残っている部分がありますね。赤錆はメタルクリーナーでは落ちないようです。
そして日の裏側。こちらも問題はありませんでした。
ジャンクから持ってきた巻真は、長さを1mmほど削っただけで、そのまま使えました。
ケースに入れて、中枠を固定して(巻真長さの調節はこの段階で実施)
自動巻きモジュール、ローターをつけて、裏蓋を閉めて完成。
今回の時計は、ついていた純正ブレスが使えた非常に稀な例でした。
たいていは短くて使えないんですよね。