EDOX 二針手巻き腕時計

今回はEDOXの二針時計です。

基本的に、二針には手を出さないようにしているのですが(部品が少なくてつまんないから)、この時計はRの大きい角形ケースと、文字盤のデザインが気に入ったので手を出しました。
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外観は大きな傷や汚れはなく、程度は良いほうだと思います。

光り方がめっきぽいのですが、ケースはステンレスでしたので、ケースのみ軽く磨きました。
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ベゼルもちょっと磨いてみたのですが、やっぱり効果がなさそうなのですぐにやめました。

機械は不動でしたが、見た目はきれいでさびや破損はなさそうです。
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では分解して行きます。針と文字盤、日車押さえを外します。カレンダーは一番簡単な構造です。
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日送りの爪が歯車と一体なので、普通なら針の送り戻しで早送りはできません。

少なくとも、セイコーやオリエントではそういう機械がありました。

しかし、この機械は針の送り戻しで早送りができます。思うに、爪の角度がポイントなのでしょう。

前回やった7750のように、爪が半径方向に出ている場合は、戻すと日車も戻りますが、この機械の場合は

爪が斜めに出ていて、戻すと日付が戻る前に爪と日車の内歯の引っ掛かりが外れるので戻らないと考えられます。


次は表側です。香箱からガンギ車まで素直に並んだ輪列です。
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地板を見ますと、Pと7046という刻印が。プゾーの7046のようです。
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香箱内はきれいなので、香箱真まわりだけきれいにし、側面にちょっと注油しておきます。
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洗浄が終わりましたので組み立てます。シンプルな構造ですので、特記することもなく、淡々と組みつけて行きます。
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あ、一点ありました。地板に明いているアンクルの爪石への注油窓がとても大きく、注油しやすくなってます。

なので、テンプをつける前に日の裏側から注油しました。出側、入側ともこんなに丸見えの機械は今までなかったと思います(記憶)。
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日の裏が上になっているついでに、巻真周りを付けました。ひっくり返す時の取っ手があった方がいいですから。
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表側にしてテンプを付けて、
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またひっくり返して日車を取り付け。
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動きを確認したら文字盤と針を取り付けます。
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ここから巻真を外さずにケーシングできるのが非防水ケースのいいところ。

時刻合わせをして最終チェックします。猛烈な勢いで遅れて行くのが確認できました。タイムグラファーにかけてみると、-1sec/d程度。

やっぱり、、、久しぶりの置き回りです。針回しがやけに軽いので、不安はあったんですが。

この機械の筒カナは、二針時計のせいもあるんでしょうが、肉厚のしっかりした作りで、嵌める時にかなりきつい(が、入ると緩い)。

だから、かしめを強くしたらはまりにくくなるのではないか(そんなことはないと思うんだけど)とか、かしめ量のコントロールが難しい、など悪いことばかり思い浮かんできます。

まずは簡単にできる方法として二番車の軸と筒カナの脱脂を実施。(軸はロディコ、筒カナは洗浄)

微妙ですが、針回しが重くなったので再組立。

でも、1日使ったら夕方にはまた大幅にずれが出ていました。

仕方がないのでまた筒カナを取り出し、ニッパーでつまんでハンマーでコンコンと軽くたたいてかしめました。

一度で決まるとは思っていなかったのですが、初回でだいぶ針回しが重くなりました。ラッキー。


ラグ幅が18mmなので、いつものブレスをつけて一日使ったのですが気になることが。
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ケースの幅が32mmで、小さい部類とは言えレディース時計ではないと思ってましたが、ケース裏のカーブがかなりきつい。
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細めの腕につける前提か。カーブの曲率がきつい分ラグ部の厚みがあるので、ブレスの上に乗っかっているように見えます。
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また、ラグ部の上のベゼルに、正体不明の溝が。
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もともとのブレスは、この溝を使った構造だったのではないかと推測するのですが、一体どんなものだったのか。

ぜんぜんイメージが湧きません。純正ブレスがほしいとは思いませんが、どうなっていたのかはとても気になりますね。