BALL WATCH ENGINEER HYDROCARBON NEDUのメンテ その一

以前、タイトルの時計が購入から丸三年でいきなり止まったということを書きました。

変則的ながら、毎日使っていて、ほぼ3年止まることなく動かしてきました。

あと1年くらい経ったらメンテしようと思っていたのですが、意外に早いタイミングでの

トラブル発生です。


オリエントのノンスクラッチが仕掛かりのままだったので、中々手を付けられなかったのですが、

ようやくノンスクラッチが終わったので、こちらをメンテすることにします。


一度、メンテしようとしてガチャガチャいじっていたら動き始めたので、タイムグラファーの

かけたところ、振り角300゜弱、歩度・ビートエラーも問題なく、このままなおって

しまうのか? と思ったのですが、1時間後に止まりました。
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どうも、異物噛み込みで止まったのではないかと推測されます。

どこに異物があるかわからないし、一個だけとは限らないので、分解清掃はMUSTです。



では、分解していきます。

裏蓋を開けます。
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垢のようなものが貯まっている部分がありますが、それ以外はきれいです。

何度も海水浴に行ってますが、3年くらいでは腐食はないようですね。

裏蓋もきれいです。チタンだから?
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ケースから機械を取り出します。
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針、文字盤に傷をつけないように、落ち着いて外します。

文字盤の下はカレンダー受けですが、特に装飾はありません。
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それでも、中華コピーを見慣れているときれいに感じてしまいます。


日車と曜車等を外します。金色の部品は右上が日送り車、左下が曜送り車ですが、

爪の位相差で切り替わりのタイミングが変わります。
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この個体の場合、曜日の方が先に変わってしまう状態でしたので、組立時には

日付が先に変わるように取り付けようと思います。


カレンダー受けを外し、部品をどんどん取り外します。
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日の裏が終わったら、表に行きます。

もう自動巻きとクロノグラフの受けは外してしまいました。
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分解を続けます。
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止まりの原因となりそうなものはないか、気を付けて分解してきたつもりですが、

よくわかりませんでした。綿埃みたいなものはいくつかありましたが、分解中についた

可能性は否定できず。結局、原因は闇の中。


香箱は、ご覧の通り大変きれいで、スリップ状態も確実に1ノッチずつ滑っているので、

下手に手を付けるよりはこのままがよかろうと判断しました。
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次に、ケースのメンテです。

どこまでやるか悩みましたが、まずはブレスのみケースから外します。

ブレスの固定は、両側から2本ずつのネジが使われています。

種類はトルクス型で、適用する工具のサイズはT-3というものです。

ホームセンターで買ってきて緩めようとしたら、反対側も回ったので、貫通のネジのようです。

やむを得ず、同じものを買ってきて緩めました。
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ケースとフラッシュフィットの間は、若干の当たり傷とホコリの侵入があるだけで、きれいなものでした。
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プッシャーも外せれば外そうと思いましたが、外し方がよくわからないのでやめました。
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分解した部品の洗浄前に、汚れ・ダメージがあるかチェックしてみました。

ダメージらしきものは、輪列受けの丸穴車が擦れる部分のみ。
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汚れは、竜頭の端の黒い擦れ跡
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と、輪列のカナに半透明のカスのようなものが付着しているのみ(顕微鏡でわかるレベル)でした。


他に気づいたことは、ひげゼンマイの外端の固定方法です。

穴にひげゼンマイを通し、くさびで固定してあると思っていたのですが、拡大してみると

接着剤みたいなもので固定されていました。中華ムーブみたいです。
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もちろん、中華品とは仕事の丁寧さは違いますが。


もうひとつ、抜いた巻真に肉眼でわかる糸くずがついていました。
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顕微鏡で見てみたら、巻真の緩み止め剤に片側が入り込んだ糸くずでした。

これは最初からついていた異物ですね。この類のものが、止まりの原因だったかもしれません。


ということで、洗浄も終わりました。次は組立です。       (つづく)
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