TECHNOS DE LUXE 30J
今回はテクノスのDE LUXE。やや小柄なクッションケース、ボンベダイヤルにしびれました。
それなりに汚い外観ですが、よく見るとケースに大きな傷はなさそう。グラインダーは使わず済ませようと思います。
ただ、裏蓋は普通に傷だらけなので、これだけはグラインダーを使うことにしました。
機械はETA2522。以前これが載ったスカイライトをやったことがあります。けっこう、きれいな機械です。
ローターはローター受けの裏側からネジ止めされています。
軸受けは受け側のルビーをローターととローターネジですが、この方式は、ボールベアリングと比べると回転抵抗が大きいのは明らかです。
現存するボールベアリングでない軸受けを採用した時計のパワリザは、諸元より大幅に短いことが多いと思っていますが、これはその一因と考えています。
ただ、非ボールベアリング採用の時計の名誉のため、未使用またはそれに近い状態でどうなのかというのを確認したいですね。
どこかにないですかねえ。
それはともかく、分解に入ります。
まずは機械を取り出し、ケースを分解します。ケース正面は放射状のヘアラインですので、ここは汚れ・テカリ取りのみとします。
ベゼルのようなものは風防の固定には関与していません。コジアケの差し込み口がないので、風防を外した後に内側にコジアケを当てて外します。
これがケースの構成部品です。
サイドのポリッシュ部は磨き棒(sold by Daiso)に白棒青棒をつけて面を維持しつつ傷を目立たなくし、ピンク棒とリューター出仕上げます。
磨き棒というのは、ダイソーに売っている平たい木材です。これに白棒、青棒などをこすりつけ、それでケースを磨きます。
バフで磨くより面やエッジを損なわずに済む方法で、両頭グラインダーを導入する前に使っていました。
ただ、この方法は猛烈に時間がかかるので、傷だらけのケースが相手だと日が暮れて夜が明けてしまいます。
反面、失敗はしにくい方法です。
そういうわけで両頭グラインダー導入に至ったのですが、今回のようにそれほど傷が深くないとか、磨く面が多くない時は有効な方法です。
次に機械の分解を再開します。日の裏側からです。
この機械のカレンダーは瞬時送りですね。セイコーに比べればずいぶん少ない部品点数で実現しています。
ロレックスはデイトジャストで有名ですが、どういう構造なんでしょう。
気になりますが、なかなか分解するチャンスがありません。
巻真周りも簡素です。カンヌキ押さえのネジが日躍制レバーの軸になっているのは先日やったスカイバードのETA2638と同じです。
(画像では躍制レバーもバネも明後日の方を向いてますが)
次は表側です。
丸穴車の締め付けネジが一番受けの裏側の部品にねじ込まれる構造ですが、組みなおすのがめんどくさいんですよね。
輪列です。
香箱チェックの結果は、スリップトルク問題なし、滑りすぎもなし、ということで香箱真のみ外して洗うことにします。
洗浄はベンジンを使用し、一部変色のある部品のみメタルクリーナーで超音波洗浄。アルミ部品はないはずですが、一応注意します。
洗浄後組み立てです。地板にインカブロックを取り付けて注油し、輪列を載せます。
オシドリのネジを忘れやすいので、注意が必要です。
受けをかぶせてザラ回し、よければアンクルを取り付けてアンクルチェック、OKなら角穴車を取り付けます。丸穴車は一番受けに組み込み済みです。
テンプを取り付け、注油済みのインカブロックを取り付けます。
次に日の裏です。日の裏は画像があればキーレスワークですかね。躍制レバーバネの紛失には注意が必要ですが。
日車取り付け。この後は文字盤と針を取り付けます。
長針の先の方が妙に傷んでますが、何かあったんでしょうか。
ケースに入れてスペーサー、自動巻きモジュールを取り付けます。
裏蓋を閉め、ひっくり返して出来上がりです。
文字盤がきれいだと、見栄えがいいですね。
傷の多かった裏蓋は、傷取りを一生懸命やったつもりですが、こうしてみると傷がまだたくさん見えますねー。
今回は特に問題なく組み終わりました。残っているのは巻き上げ効率(パワリザ)の心配だけです。