CITIZEN LEOPARD 36000 28JEWELS

今回ネタにするのは、シチズンのレオパール36000です。

10振動の機械を積んでいて、この個体は文字盤に36000と書いてありますが、SUPER BEAT 10と書いてあるものもあるようです。

シチズンではハイネスというモデルも10振動ですね。

今までハイネスは単独モデルと思っていましたが、レオパールの特別調整モデルだとの記述が複数見つかりました。

資料を調べてみると、72系の10振動は「レオパール・ハイネス」で、77系の10振動が「ハイネス」のようです。

「コロナマーク2」がのちに「マーク2」になった、みたいなもんですかね。

そのハイネスは公認クロノメーターということで、黙っていても高額になりますので、とても手が出ませんが、レオパールなら何とか手が届く価格で10振動機が手に入ります。

内容的にはベースが72系ですので、セブンスターや普通のレオパールを分解するのと事実上何も変わらないことはわかっていますが、10振動という記号性は無視できないものがあります。

では分解を始めます。

ケースは楕円風防が特徴的。シチズンはクリスタルセブンの風防に世界で初めてガラスを使いましたが、楕円のガラス風防も世界初だったそうです。
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裏蓋を開けてぱっと見た瞬間、テンワが何となく小さい感じがしましたが、気のせいかもしれません。
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ケースを分解します。

楕円形だと防水性が心配ですが、分解してみると普通の防水時計と同様の構造なので、工作精度が高いのでしょうか。
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ミドルケースはエッジがほとんどない、まるっとした形状で、元々の表面の仕上げはマットかヘアラインだったと思われます。

直線的な面がないので、ポリッシュが楽ですが、この形状で全体がテカっているのはちょっと気持ちが悪いと思い、ヘアラインにすることにしました。

一度は円周状に入れてみたのですが、あまりしっくりこないこと、地に残っている傷がヘアラインを入れても目立つので、いったん傷取りをすることにしました。

いつものグラインダーで傷を取ります。
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傷がほぼなくなったところでスポンジやすりを駆使して長手方向にヘアラインを入れました。

どうしても思うようなヘアラインにならないんですが、個人の手作業ではこれが限界ですかね・・・

風防は曲面です。普通に付いた傷とは思えない状態ですが、いつもの方法で大丈夫でしょう。
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一時間くらい磨いた後の状態です。部分的に面取り部の荒れが残っていて、見る角度によってはそれが目立つことがありますが、心折れました。
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引き続いて機械を分解します。

普通の72系と同じはずですので、どんどんばらします。まずは日の裏側。
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52系に比べれば小バネの数は減っていますが、1個だけありますので要注意です。
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次に表側です。こちらもほとんど同じと思いますが、ガンギ車の歯数、ひげゼンマイ、主ゼンマイなどが違うはずです。
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アンクル受けの形も違いました。

さて、香箱です。チェックしてみますと、一気に一周以上スリップしますので、ゼンマイを取り出して油を落とします。
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洗浄したら、まず香箱から組み立てました。

最近のシチズンの自動巻きについての標準作業となりつつありますが、スリップ面には注油せず、側面のみD5を塗布。

再チェックしてみると、これでも2ノッチ滑る時がまれにありました。でもまあ、これでいいでしょう。

地板にパラショックをつけて注油したら、輪列や自動巻きの伝え車をセットします。
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受け一枚で受けているのでつけ忘れがないようにしないといけませんが、最初につけるべきオシドリを付け忘れてしまいました。

やり直すしかないので、二番車・ハックレバー以外を取り外して、オシドリを取り付けました。

気を取り直して組み立て再開。アンクルを取り付けたら、チェックのためにゼンマイを少し巻き上げます。

この機械は角穴車ネジがないので、先に巻真まわりを組付けた方がよいのですが、空中に鼓車と吉車を保持したまま巻真を通すのが苦手なため後にやります。

アンクルチェックがOKなので、テンワを取り付けました。
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そして自動巻きの部品を取り付け。
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日の裏側に行って部品を取り付け、文字盤・針を取り付けます。
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ケースに入れて、ローターをつけて
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いつものブレスをつけて完成。
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この画像だと、ヘアラインがそこそこに見えますねー  小傷がほとんど消えているので、そのせいもあるかもしれません。

実物を見るとちょっとアレなんですけどね。

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