Citizen Super Jet Auto Dater 39J SS

今回はシチズンのスーパージェットを分解します。

だいぶ前に金めっきケースのスーパージェットをやっておりますが、自分の中でめっきケースの時計の

位置づけがだいぶ低下してきているため、それを放出しました。その時のお金で買い直したのが

今回の時計です。
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ケース、風防は比較的きれいですので、バフ掛けくらいで済みそうです。機械もきれいに見えますが、

不動です。本体を強めに振ってもテンワがぴくりとも動きませんので、「やられたかな」と思いましたが、

テンワを直接つついてみると、かなり粘度の高いオイルにより動けなくなっているような感じでした。
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ベゼルを外します。直接目にしますと、文字盤もけっこう傷んでいますね。秒針もかなり曇っていますが、

これはたぶんきれいになるでしょう。
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針と文字盤を外して分解に入りましたが、自動巻きを外すつもりで輪列受けを外してしまい、

ゼンマイを一気に解放させてしまいました。やばい・・・
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気を取り直してそのまま分解を続けます。いつもと違う分解順序なので二番車が残りました。
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このままひっくり返して日の裏の分解をやります。
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香箱チェックをしますと、現状で滑りは悪くありません。しかし、ふたを開けてみるとなんとなく違和感を感じます。
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ゼンマイと香箱真の隙間が広いような気がするんですよね。ですので、ゼンマイを外してみることにしました。

出てきたゼンマイは、写真のようにスリップアタッチメント一体型でした。
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今まで分解してきたジェットはすべて別体型だったので、交換されている可能性があります。

それが本来より薄いもののため、先ほどの違和感につながったのかもしれません。


洗浄が完了したので組立に入ります。ゼンマイはとりあえず入っていたものを再利用。

グリスはモリコートDX。サラサラオイルでも抵抗は少なかったので、これで十分でしょう。


地板にパラショックと保油装置をつけます。ただし、保油装置の場所がアンクルなので

基本的に注油しませんし、この石でアンクルのホゾを受けているとも思えないので、無駄な石?
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受け石のない状態でアンクルを取り付けて確認してないため、本当のところはわかりませんが。

その後、輪列を取り付けていきます。
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ザラ回しがOKだったらアンクルを取り付けて、動作チェックをして、テンプを取り付けます。
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テンワが動くことは動くのですが、なんとなく元気がないように見えます。なぜでしょうか・・・

ひげゼンマイは問題なさそうでしたが・・・


コハゼは一番受けをかぶせた後に取り付けましたが、とんぬらさん方式の方が確かに楽ですね。

次からはそうすることにしましょう。     今までどうしてたんだっけ・・・

それから、当時のシチズンはオリエントとともに角穴車ネジが逆ネジなんですが、その理由は

ネジの緩み云々ではなく、ネジの締め付け時にコハゼでロックされるため、作業が楽だから。

なのではないかという気がしています。


とりあえず作業を続けます。

自動巻きの歯車類を取り付けます。小鳥のような形のコハゼを押さえるバネが、丸穴車の中心から

でていますが、受けをかぶせるまではテンションをかけないようにしておきます。
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細長いバネは、小鳥のおしりにある非常に狭いスリットに入れておくことを忘れずに。
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受けをかぶせた直後は、黄色丸のようにコハゼ(小鳥)がすぐそばの歯車から離れています。

そこで、赤丸の軸を右に回して
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コハゼを歯車に押し付けます。
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どれくらいのテンションで押し付けるか、ですが、ローターの回転を切り替えた時に

滑らない程度、としか書けないですね。文字だけでは難しいです。


ここまで来たら、日の裏側に移ります。この時計も、先日やったオリエントと同様、

日車の躍制レバーを後付けするタイプですね。
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そして、文字盤と針を取り付けます。
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ケースに入れて、ローターを取り付けます。ローターは3枚の板で固定されますが、

その板の2枚に写真のような削り跡がありました。摩耗した感じではなく、意図的に

削ったようです。何のためなのか・・・
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この時計も、よくわからない箇所がいくつもあります・・・

そんなこんなでほぼ完成。片方の機留め板が割れていて、しっかり固定できて

いなかったので、中古の機留め板を持ってきて交換しました。
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いよいよ完成・・・ですが、正面からだとよくわからないのですが、斜めから見ると

ベゼルと文字盤の間にかなりの隙間があります。でも、機留めのやり方は間違ってないし、

巻真とケースのチューブ位置も合っています。文字盤がおかしいのか、ベゼルが

おかしいのかよくわかりません。この時計、ほんとによくわからないところがたくさんあります。


しかし、ジェットモデル最高峰のスーパージェット。やや大きめのサイズも手伝ってか、

じーっと見つめてしまう魅力があります。
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