LORDMATIC 23J 5606-7040
今回俎上に上がるのは、セイコーロードマチック。5606Aを搭載していますが、
この機械は一番多く分解していると思います。
玉数が多い、だから安い、まとめ売りの中に入っていることが多い、この機械がわりと好き、
ということで手元に来る数が多くなるためです。
洗って組みなおすだけでけっこういい調子になるので、優秀な機械だと思います。
巻真まわりがやけに複雑だとか、搖動レバーの悪名が高すぎってのはありますが。
今回の個体は、珍しくプラ風防で文字盤に「LM」のアプライドロゴがないことから、
けっこう初期のものということがわかります。製造は'70年3月。
分解するとわかりますが、風防・パッキング以外に合成樹脂部品が使われていません。
分解前の状態は不動。針回し、カレンダー早送りは問題ないようです。
ということで、分解に入ります。ベゼルを外し、風防を外します。この時、せっかくなので
純正の風防外し工具を使いました。
しかし、風防をつかんで工具のハンドルをぎゅっと握ったら、ばきっという音が。やっちまったか?
見ると端面と平行にかなりの範囲でヒビが入ってしまいました。
できれば交換したいところですが、手持ちの交換風防はなく、買うと本体価格の数倍になってしまうため、
プラモデル用接着剤でふさぐことにしました。
針はまあまあ、文字盤はほとんど劣化していないようです。機械もきれいなものです。
日の裏側から分解していきます。ケースの内側には'80年11月と書かれていましたが、
最後のOHからあまり使われていないような気がします。
次に輪列側を分解しますが、テンプ受けを見るとどうも違和感を覚えます。
何か変じゃありませんか?普通は微動緩急針の歯車があるはずですが、省略されたモデルが
何か変じゃありませんか?普通は微動緩急針の歯車があるはずですが、省略されたモデルが
あったんですかね?とりあえず分解を続けることにしました。そしてテンプ受けを外し、
ゼンマイを解放。そして一番受けを外しました。
この機械、テンプ・アンクル以外はすべて1枚の受けで押さえられています。
3/4プレートと言ってもOKかな?3/4の定義が今一つわかりませんが、
地板に対する面積なら3/4以上、押さえている軸の数なら4/5ですかね。
その一番受けを外したら、その下に異様なものが。これが不動の原因だったようです。
見た瞬間はなんだかわかりませんでしたが、5秒後に事態を察しました。
これは微動緩急装置の歯車だと。本来はけっこうきつく圧入してあるはずの部品が脱落するというのは
どういう状況なのでしょう。この歯車を本来あるべきところに入れてみたところ、何の抵抗もなく
入りました。ひっくり返せば落ちるし、本来の役目も果たせません。接着剤では長くはもたないと
思いますが、場所が場所だけにカシメして圧入しなおすというのもやりたくないので、この歯車はなしで行きます。
香箱は、チェックの結果ちょっと滑り出しの抵抗が大きい感じがしたので分解します。
分解が終わったところで洗浄。香箱から組み立てます。自作8201改で滑りはよくなりました。
しかし、8200がベースオイルとしていいのか、なんだか疑問です。モリコートDXをベースにした方が
流れ出す心配もなく滑りも良くなりそうな気がします。もはや8200使用をすっぱり諦めるべき時かもしれません。
地板に輪列その他の部品を乗せます。切換車も秒針規正関連部品も忘れずに。写真を見ないで
組むと、いつも三番車を天地逆に組んでしまいます。なぜでしょう。
ざら回しをやったら角穴車をつけて、アンクルをつけて、動作確認してテンプを取り付け。巻真を挿すと
無事動き始めました。
次は日の裏側です。巻真周りは部品が多いので、最初は面食らいますね。全体を見渡しながら、
深いところから組み付けていくといいと思います。まずは第一段階。
そして第二段階。
カレンダー送りの部品をつけて、日車をつけます。
曜車をつけて、機械はほぼ終わり。
次に文字盤と針をつけます。ワンピースケースの場合は、ケースに機械を入れてしまうと
もう歩度調整ができなくなってしまうので、風防に乗せてタイムグラファーで調整。
そしてローターをつけて、ケースに入れます。
歩度調整、文字盤針の取り付け、ローター取り付けの順番はお好みでいいのではないでしょうか。
ケースに入れたら、機械固定のためのリングをスライドさせて固定します。
風防を押し込んで、ベゼルをはめ込みます。風防に傷やヒビがある場合は、12時の方向にもっていくと
目立たないと思います。カレンダーの拡大レンズがついている場合は無理ですが。
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