ORIENT FINENESS ULTRAMATIC 35J
今回はオリエントのファイネス ウルトラマチック35Jです。実はこの時計も、同じモデルを以前分解しています。
ウルトラマチックというと、私はどうしてもドイツ フォクトレンダーのカメラを思い浮かべてしまうんです。
だから前回の記事では最初にカメラの画像を載せてみました。
残念なことに、まったく反応がありませんでしたけどね(^_^;
この時計に搭載されている機械は3900という型番で、カレンダー付の自動巻きとしては発売当時
最薄だったそうです。オリエントというのは、薄型の機械を使っているのに時計自体は厚いものを
作ったりする変わったメーカーだったようですが、この時計に関しては機械の薄さを最大限に生かそうと
したようで、ワンピースケース、フラット風防などの採用によりオリエントの時計とは思えないくらい
薄く仕上がっています。
ロードマチック以外のワンピースケースを分解する時、以前は風防を外してからジョイント巻真の合わせを
手前に向けてから機械をごろんと取り出していました。
その後、竜頭を引っ張れば抜け、さらにそこから空気を送り込めば風防が外れる(そういうポンプが売られて
いる)ことを知り、目からうろこでしたが、今回の分解に当たりそれを思い出したので試してみました。
まず、竜頭を引っ張って外します。風防押し出し用のポンプに代えて、手持ちのブロワーを使います。
ヨドバシカメラのカメラコーナー、時計コーナーにある一般的なやつです(サイズは大ですが)。
これの先端をケースのチューブに押し付け、ぎゅっと一握り。すると、いとも簡単に「ポン!!」という
音とともに風防が外れました。たまたま風防の締め代が少なかったのかもしれませんが、これはイイ!!
今まで風防外周をつかんで縮める工具を使って、壊してしまった風防がいくつかありますが、
これなら壊す確率は減るかな?巻真を抜いた後に裏蓋を締めれば、ワンピースケースでなくても
活用できますしね。
ということで機械を取り出したら、日の裏側から分解していきます。
日の裏側の最後に耐震装置を外したのですが、なぜかばねも外れました。インカブロックのばねは、
本来外れないはずなんですが、たまに外れてしまう個体があります。ロンジンのCal.430/431は
高確率で外れる気がします(サンプル数は3ですが)。
次は表側です。自動巻き、テンプ、アンクル、一番受けを外します。
輪列が見えました。秒カナを採用していますが、その押さえばねが地板側に押し付けるのではなく、
受け側に持ち上げるようになっているのがちょっと珍しいと思います。
香箱の中はこんな感じ。ゼンマイを取り出して洗います。
ばらした部品はパーツクリーナーで粗洗浄後、メタルクリーナーで超音波洗浄。この方法でも
ダイヤフィックス内はきれいになるのですが、たまに大きな異物は取れない時があります。
今回は四番車のダイヤフィックス内に異物が残り、洗浄を繰り返しても取れなかったので
やむを得ず受け石を取り外して直接洗浄。その後の組立で、予想通りばねをなくしてドナーの
お世話に。紛失は一度だけでなんとか取り付け完了。
次に取れないはずの緩衝装置のばねが取れてしまった地板ですが、今までは簡単に外れるのに
入らないことが多かったのですが、今回は簡単に取り付けできました。ただし、こちらも
一度ばねを失くしてドナーのお世話になっています(^_^;
それでは表側から部品を組み付けていきます。
手巻きができず、角穴車ねじもない構造のため、自動巻き以外の方法ではゼンマイを
巻けず、アンクルチェックもできないため、自動巻きを取り付けてローターをしばらく回し続けて
ゼンマイを巻きます。前回はどうやったんだっけ・・・・
ある程度巻けたらアンクルを取り付けてチェック、そしてテンプを取り付けます。
次に日の裏側です。最低限の機能しかないので、構造は簡単です。どんどん
部品を取り付けていきます。
文字盤、機留めリング、針を取り付けたら
ケースに入れて、風防を押し込んで完成。
風防は純正ではなく、似たサイズのものを流用しているようで、若干緩いようです。
分解時に簡単に外れたのは、やはり締め代が少なかったせいと思われます。
エアプロワによる風防外しは、別の機会に再検証してみようと思います。
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