CITIZEN Jet Auto Dater 21Jを分解する

ここのところ、シチズンが続いています。特に意図しているわけでは

ないのです。たまたまです。

で、今回の時計はジェットのオートデーター21石です。
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文字盤の傷みが始まっていますが、全体的には悪くありません。

裏蓋の文字がほとんど消えているので、だいぶ研磨されていると思います。
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その割にケースのエッジが残っているのは、裏蓋以外を交換したことが

あるからかもしれません。裏蓋にはシリアル番号がありますからね。

その番号を見ると、'65年2月の製造であることがわかります。49年前ですよ。

裏蓋とケースのあわせ面に若干の汚れがありますが、さびなどはなくて

保管状態は悪くなかったものと思われます。
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ケースから取り出す前にローターを外しましたが、勢いで自動巻き部品も

外してしまいました。
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文字盤がケースとベゼルに挟まれていますので、機留めねじを外すだけでは

機械が出てきません。コジアケでベゼルを外します。そして針と文字盤を外します。
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日車押えと日車を外します。
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日の裏の分解が終わったら、表に移り、分解していきます。
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が、ここで大失態を演じてしまいます。どうしても角穴ねじが外れないのです。

ドライバーを2回欠けさせても外れないので、ネジザウルスを買ってこようかと

思ったくらいです。




この日からさかのぼること1か月くらい。だいぶ前にやったスーパージェットが

ゼンマイ折れのまましまい込まれていたのですが、これを復活させるため

入手したジャンクからゼンマイを取り出そうとした際、角穴ねじが外れなかったのです。

どうせジャンクだから、ということでねじをつぶしてゼンマイを取り出したのですが、

そのゼンマイを移植しようとしたスーパージェットの角穴ねじも外れないのです。

これを壊すわけにはいかないので、とりあえず保留とし、新たなジェットに取り掛かる

ことにしました。それが今回のジェットなんですが、これも外れないのはどう考えても

おかしい。同様のトラブルに見舞われた人はいないのか?と思い、ググってみたところ


サイト主「シチズンは角穴ねじも逆ねじなんですよね」

私「えっ!?」

サイト主「えっ!?」



ということで、角穴ねじも左ねじであるということをすっかり忘れていたことが判明。

言い訳ですが、右にも回してみたんですよ。でもゆるまなかったんで。

色が違ったり、溝が3本だったりすればわかったんですがね・・・

それにしても、ドライバーを壊すほど逆に回して、よくねじが壊れなかったものだと

思います。


ニワトリ並みの記憶力であることを露呈しつつ、作業を続けます。


分解後、洗浄し、組立を始めます。

まずはパラショック(シチズンの耐震装置名)と巻真まわりの取り付け。
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ここで一度表に行き、輪列の取り付け。
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そして受けをかぶせますが、なぜかガンギ車のアガキがなく、受けを

締め付けるとザラ回しできなくなるので、受けの石を少し押し出しました。
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何とか回るようになったのでアンクル、テンプを取り付けましたが、なぜか天真の

アガキがなく、締め付けるとテンワが止まります。

これは、分解時にテンプ受けの裏に薄紙が貼ってあったのを見つけていたので、

予想できた事態です。洗浄で取れた薄紙をまた貼り付けようかとも思いましたが、

ガンギのアガキ同様、石を押し出すことで対策することにしました。

ねじを締め込んでも動きが渋くならないところまで押し出し、テンプ取り付け。
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ここで日の裏に行き、カレンダー関連部品を取り付けます。
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この機械は、日車の爪が滑るところが日車受け側にあるため、矢印部分にちょっと注油しておきます。
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日躍制レバーまわりの取り付けは、写真のようにレバー/バネの上に日車を置き、
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日車押えを仮締めした後にバネを押し下げ、レバーを押し下げて日車と噛み合わせたら

本締めします。
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その後、カレンダーの動作確認をしますが、ぱちんとうまく切り替わってくれません。

思いつくところに注油をしても、全然変化がありません。日車押えのねじを緩めると、

動くようになりますので、どこかの隙間が足りないことはわかりました。

そこで、日車押えを反らせる方向に力を加えてみたりしましたが何も変わらないまま

1時間たってしまったので、日車押えのねじ穴の下に薄紙を挟んで、日車との隙間を

作ることにしました。

これでぱちんと切り替わるようになったので、文字盤と針を取り付けました。

薄型化を狙った時計なのか、文字盤から出る筒カナの高さが少ないため針同士の

リアランスがシビアで、難儀しました。長針、秒針もえらく曲がってたし。
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これをケースに入れて、ベゼルをはめて。風防は比較的きれいでしたが、径が小さく

簡単に取れてしまうので、手持ちの汎用風防を取り付けました。
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そしてひっくり返して自動巻き部品を取り付けます。
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丸穴車のセンターから真ん中の歯車の下をくぐっているバネとコハゼの合体がちょっとだけ

大変ですが、その他は大きいし座りの良い部品なので、そんなに難しくありません。

受けもすぱっと入りました。

そしてローターを取り付けて
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裏蓋をはめて完成。
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独特のローター回転音は、一般的に悪く言われることはないようですが、個人的には

ちょっと・・・トイレでブルブルブルっと振ると、時計が「しゃらしゃらしゃら」と音を立てるので

周囲に人がいるとちょっと恥ずかしいです。

ローターのベアリングに多めの注油をすると、音はかなり緩和されますが、引き換えに

元々高くないと思われる回転効率がさらに阻害されてしまいますので、痛し痒しです。