SEIKO LM Special 23J 5206-5040を分解する
デザイン的にはCラインというところですが、風防・文字盤が楕円なのが最大の特徴でしょうか。
決して写真を横に縮めたわけではありませんw
裏蓋も楕円ですので、スクリューバックではないと思われます。
円形でない場合は、だいたいケースと裏蓋(裏ケース?)で機械を挟み込むような構造のため、
防水性能が低いのが宿命です。
この時計も、文字盤・針には目立った傷みは見られないものの、手巻きが重く不動なのは
水入りが原因である可能性があります。
まず、ケースの分離をしなければなりません。ベルトを外してラグ間を見ると、
大きな溝がありましたので、ここをいじればいいはずです。それにしても汚いですね(^_^;
その汚れを取り除いたらいかにもと言う感じの固定金具がありましたので、
これを注意深くこじったところ、意外に簡単に分離できました。
文字盤周囲はちょっと傷んでいますが、気にならないレベル。文字盤の4時ちょっと上に
穴が明いていますが、ここからおしどりを押して巻真を抜くのだと思います。
風防はご覧の通り傷が多いので磨くことにします。楕円風防は代替品がないので、
細心の注意が必要になりますね。
ケースは4面構成ですが、どうも正面と真横の面がヘアラインのようです。
ヘアラインとポリッシュが交互になるので、エッジが垂れたケースでも
メリハリがつくんじゃないかと思います。
機械は思ったよりきれいです。ゼンマイが巻き上がったまま止まっていますので、
輪列分解前に主ゼンマイを解放する必要があります。
その前段階として、自動巻きの部品を外します。
香箱の横に見える半円の切り欠きにあるのがコハゼなので、これを解除
しながら竜頭を回してゼンマイを解放。
次に日の裏側を分解するため、ひっくり返します。
曜車、日車を外します。
どんどん分解します。
角穴車を取り外したら、その下がさび色になっていました。でも、傷は浅そうです。
日の裏の分解が終わったら、また表に戻って輪列の分解。
香箱の周辺にさびが集中しているようですね。
香箱はこんな感じですが・・・分解します。
洗浄後、ダイヤショックとダイヤフィックスを取り付けるところから組み立てを開始します。
ダイヤフィックスは、さすまた形状のものではないので苦手意識はなく、洗浄前に分解しました。
輪列を取り付けていきます。
受けをかぶせてザラ回しをやり、アンクル、自動巻き部品を取り付けます。
この段階ではゼンマイが巻けてないので、テンプを付ける前に日の裏側に行き、巻真まわりを
組み付けることにします。
ここでゼンマイを巻いて、表に戻ってテンプを取り付け、動作確認をします。
ちゃんと動くのを確認したら、また日の裏に行って残りの部品を組み付けます。
文字盤、針を付けて、ケースに入れました。この前にタイミング調整は完了しています。
さて、風防です。
代替がないのでまた割るわけにはいきません。危険を避けるため、グラインダーは使用せずに
作業することにしました。金剛砂#400で粗削り後、#1000で整え、キイロビンで研磨。
粗削りは順調だったんですが、キイロビンでの研磨で進捗が停滞します。やっばり手作業では
なかなか透明になりません。ついに根負けし、グラインダーを使うことに。
そしたら、見る見るうちに透明になっていくわけですよ。やっぱグラインダーだぜ、といい気になっていたら、
あれっ!?なんか風防にすじが? がーん・・・ ヒビが入ってました( ;_; )
そこからはそれ以上傷を深くしないように注意し、ある程度きれいになったところで作業を切り上げ。
根気のなさ、慎重さに欠けるところはもうどうしようもないですね。
目立つ傷は消えましたが、手前やや左にヒビがあります。
裏ケースにガスケットを乗せ、その上に風防を乗せて前ケースと合体。一応完成しました。
風防のヒビは、手前よりは目立たないだろうということで、1時位置になるようセット。
風防のリングも腐食してます。交換部品があれば交換したいですけどね・・・
ケースは正面から裏側にかけて、ヘアラインとポリッシュが交互になるように仕上げました。