コスモトロンの電池

これまでにコスモトロンは4800、7804、7801を分解してきました。

技術解説書によると、48系に使用する電池は1.5vなので、

現在手に入る酸化銀電池が使えます。

しかし、78系は1.35Vの電池が指定されているので、

1.55Vの酸化銀電池を使っていいのかということが心配になります。

似たような問題は、クラシックカメラの世界でも存在しました。

オリンパスOM-1ペンタックスのSPOTMATICなど、

水銀電池を使うことになっていたカメラにどんな電池を入れるか、

ということです。

はっきりしていたのは、OM-1は水銀電池の電圧特性に頼った

設計だったために、露出計の値がずれましたが、SPOTMATICは

電圧を変換しているらしく、ずれが認められなかったということです。


電圧の高い電池を入れることによる電子回路への影響というと、

パナソニックオキシライド乾電池の件が記憶に新しいですが、酸化銀電池による

不具合は、自分の経験も含め、何か起きたという話は聞きませんでした。

じゃあ、腕時計はどうなのか。回路の中身はよくわかりませんが、

電圧が上がると起電力が上がり、テンワの振れが大きくなる可能性が

考えられます。

しかし、テンワの振り角が大きくなっても、振り当たりが起きない限り、

精度に貢献こそすれ、悪化させることはないはずです。

それと、回路設計上、1割程度の過電圧には対応しているだろうという

勝手な思い込みもあり、問題ないだろうと思っています。


ただし、これは私の思い込みに基づいていますので、全く影響がないという

保証はありません。

つまり、もしかしたら壊れるかもしれないことを覚悟の上使うか、

78系コスモトロンを使うこと自体を諦めるしかないということになります。


電圧の違いだけを気にするなら、電圧が水銀電池とほぼ同じの

空気亜鉛電池を使うという手もあります。
イメージ 1


この電池の用途は事実上補聴器のみですが、高齢化が進む現在、

需要は拡大傾向にあるらしく、供給停止の心配はないと思われます。

最大の懸案は、もしかすると致命的かもしれませんが、空気亜鉛電池

空気中の酸素を正極として化学反応を起こし、発電するため、

密閉された腕時計に使用すると、内部の酸素を使い切ったところで

止まってしまうのではないかということです。

まあ、この時計のようにパッキングの交換もしてないと、じわじわ空気が

入ってくるかもしれませんが。

とりあえず、ずいぶん前にカメラ用に買った空気亜鉛電池をコスモトロンに

入れてみました。
イメージ 2


小さい穴が明いています。これが空気亜鉛電池の外観の特徴。

振り角や歩度は、酸化銀電池を入れた時とほとんど変わらないように見えます。

推測した通りでしょうか。

これで蓋をして様子を見ることにします。

現在6日ほど経過しましたが、順調に動いています。今後も時々状況を

報告したいと思います。