CITIZEN COSMOTRON Special 4-790600-Y
時報合わせ機能を持った電磁テンプ式時計です。
ちょっと前にやったばかりのような気がしますが、まだまだ在庫はあります。
今日のモデルは青いグラデーションが特徴で、上半分が濃紺、下半分が下地の縦ヘアラインが透けて見えるデザイン。
ケース形状はコスモトロンとしては普通の形ではないかと思います。裏蓋も普通のスクリューバック。
外観は、風防にはかなりの傷がついていますが、表側は平らなので何とかなるでしょう。ケースの傷も少なめです。
裏蓋を開けて電池を交換したら動き出したので、電子回路は問題ないようです。
ただ、巻真が抜けてしまいます。オシドリに問題があると思われます。
真っ先に思いつくのは、さびによるオシドリ破損ですが、この固体には水気が入った形跡がありません。
文字盤に比べると長短針の腐食が目立つので、多少は湿気が入って針で結露した可能性は否定できませんが、
裏蓋合わせ面などまったくさびていませんので、さびによる破損とは思えませんね・・・
裏蓋合わせ面などまったくさびていませんので、さびによる破損とは思えませんね・・・
風防とベゼル、ベゼルとミドルケースは樹脂リングで固定されています。
このモデルはミドルケースの正面、12時と6時の部分がヘアラインになっています。大きな傷はありませんが、すれによる磨耗があるので、ちょっとやり直してみたいと思います。
ケースサイドが凹のカーブになってます。こういう形状は、両頭グラインダーだと大変磨きにくい(うまくいきにくい)のですが、傷を取るにはやるしかありません。
では、ケースを分解します。コジアケをいれる隙間がないので、裏から押し出します。セイコーのコマが合いました。
分解したケース部品をグラインダーで磨きます。
裏蓋は大きな傷がないので布バフで仕上げます。仕上がりはリューターでやるのとあまり変わりませんが、圧倒的短時間で同じ結果になります。
ヘアライン部分も地ならしのためいったん磨きます。ちょっとヘアラインが残っていますが、影響ないでしょう(^_^;
一通り磨きが完了したら、ヘアラインを入れます。
今回の作業内容は、#40の布やすりの上をまっすぐ滑らせ、溝を彫ります。
ここをいかにうまくやるかがポイントだと思うのですが、期待したほどはうまく行きませんでした。
このままだと表面が荒れているので、今度は中目の紙やすりの上を滑らせて落ち着かせます。
これで多少よくなりますが、元々のヘアラインにはどうしても届きませんね。結果は後程。
風防は、いつもの通り金剛砂の#400と#1000で傷取りをした後、包丁研ぎ機で磨きました。
結構深い傷がありましたが、取れました。エッジの欠けはどうしようもないですけどね。
ケースが終わったので、機械の分解です。
過去に何度もやっているので、少々端折ります。
日の裏側から分解しましたが、部品点数はかなり少ないです。
ここまで分解して、巻真抜けの原因がはっきりしました。巻真とオシドリをつなぐピンと思われるものが見えます。
ポンス台で、地板からオシドリを取り外します。全然さびてませんので、無理に引っ張ったか、もともとの部品不具合でこうなったのかも。
機能的には全く問題ないものの、ケースがアレだしスペシャルじゃないので手を付ける気にならず、放置状態になっているこいつをドナーとして使うことにしました。
ドナーから取り外したオシドリが上です。
こいつをスペシャルの地板に取り付け、洗浄後組み立て開始。組み立ても少々端折ります。
画像に写っていなくて申し訳ないのですが、アンクル受けに相当する受けの下に、時報合わせボタンを押した時テンワを止める部品があります。
これが一体のものと二つに分かれているものがあるのですが、今回は二つでした。
これが一体のものと二つに分かれているものがあるのですが、今回は二つでした。
ところが今回、ケースを先に組み立ててしまったのです。また風防を外すのもいやだったので、ケースを使わずやってみたのですが、やっぱりうまくいかなくて、やり直す過程でさらにミスを犯したりで散々でした。
結局、風防を外して機械台として使う羽目に。まだ在庫があるので、機械台を買おうかな・・・
次の画像は完成する前のものですが、曜日が窓に対して微妙に上にずれています。
許容範囲といえば許容範囲なのですが、どうせ分解するので修正してみることにしました。
構造は、板と歯車が歯車のように噛み合っている(変な表現だ)のですが、その噛み合いのガタが大きいため、切り替わり時の衝撃で一方にずれる、ということがわかりました。
接着剤で留める程度で十分と思いましたが、何分にも小さい部分なので、接着剤を適量塗布するのが難しい、乾燥にも時間が必要、との理由で方針変更。
板をちょっと叩いてガタを少なくするようにしてみました。今のところOKみたいですが、いつまでもつかは不明。
ちなみに、ドナーの曜車は巻真位置違いにより位相が合わないため使えませんでした。
そんな感じで、とりあえず完成です。
ヘアラインのところは、今までの中ではまともな方だと思いますが、新品時の状態とはだいぶ違うんですよね。
メーカーはどんな機械、刃具で加工しているのか、見学させていただきたい・・・