TECHNOS Kaiser SIGNAL その1

今回はテクノス(最近テクノス率が高いようです)のカイザーシグナルです。

この時計の特徴は、その名が示すとおり信号がついていることです。
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もちろん機械式ですから、オリエントの「フラッシュ」とは違って

電気仕掛けではなく、どこかから動力をもらって何かをしているんでしょう。

実際に何をどうしているのでしょうか?開けて見るのが楽しみです。
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裏蓋を開けます。自動巻きの部分の形状から、ASの機械であることがわかります。
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テクノスの時計は、裏蓋の裏にCal.No.が書いてある場合が多いのですが、この個体は

「1○1○」と書いてあって、○の部分が9なのか3なのか8なのか良くわからない状態。
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なので地板の刻印を見たところ、「1913」のようです。

機械を取り出し、分解を開始。
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文字盤を外して現れたシグナルの正体は、二枚羽根のプロペラでした。
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日の裏でこんなものがくるくる回っているって、結構衝撃です。

文字盤の裏にはプロペラを逃がすための凹みが。そのため、文字盤自体の厚みがかなりあります。
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このまま日の裏側から分解していきます。

日車の下は、今までのASの機械とはかなり違った構造でした。オシドリのあたりから日車送りレバーまで続く長いレバー。吉車上方のへびのようなバネ。
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実は、分解前に操作していてわかったことですが、この機械は竜頭を押し込むことで日付を早送りできます。
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動きもちょっと独特で、セイコーの61系などの押すと変わるタイプではなく、リコーやオメガのように押して引くときに変わるタイプでもない。

押して離すと竜頭が勝手に戻ってくる、その時に変わるというタイプです。実用上はセイコーと同じようなものですね。

竜頭を押すと、長いレバーが日送りレバーを押します。竜頭を離すと、日送りレバーの戻りバネの力およびヘビ形のバネでレバーや竜頭が戻るという構造のようです。

後はいつものASと同じ構造ですのでどんどん分解して行きます。

次に表側。自動巻きもいつものASと同じようです。分解を進めます。
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受けを外して現れた輪列。シグナルのプロペラの回し方がわかりました。
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ガンギ車に歯車が増設され、それがシグナル用のカナを回しているのです。
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点滅信号というギミックのために、けっこうなコストをかけているなあ、と感じました。

分解が一通り終わったので香箱チェック。なんと、滑り出したら4周半滑ってしまいます。

これではたまらんのでゼンマイを取り出して洗うことにします。蓋をあけたら、汚れはあまりありませんでしたが、油は多めでした。
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洗浄後、スリップ面には9010を僅かにつけて組み直し、再チェック。今度は半周程度のすべり。まあまあでしょう。

その他の部品を洗浄中、トラブル発生。というか発見。裏押さえのバネが取れてしまったのです。古い時計をいじっていると

たまに遭遇するんですが、実に久しぶりのトラブルです。

海外の時計材料店サイトやeBayを見ましたが、1913て特殊なのか、ほとんどひっかからないですね。

とりあえず部品調達は諦め、組み立ててみることにしました。

また、黒く塗られていた日車送りの伝え車?の塗膜がはげてしまいました。初歩的なミスです・・・


画像枚数の関係で、いったんここで切りたいと思います。後編は明日にでも。