WALTHAM Astria 大失敗
今回はウォルサムのAstriaというモデルを分解することにしました。
ケースは前所有者によると思われる磨きが入っていて、角が丸まっています。
エッジの垂れを極力少なくすることはできますが、丸まったエッジを復活させるのはかなり困難です。
相当削らないといけませんので、時間・気力が続かないのと、二次災害の可能性もありますし。
正面にヘアラインを付けて、ポリッシュとの境を出すことくらいしかできないでしょう。
傷がそれほど多くない風防には手を付けてないようですね。
文字盤は腐食変色はないみたいですが、インデックスの装飾石(ブラックオニキス?)が3個ほど取れてしまっています。
何とか修復は可能だろうと判断してます。
裏蓋を開けます。
機械は、AmericanaやPresidentなどで使われている、片方向巻き上げのタイプでした。
これはパワリザが思うように確保できない機械という印象があります。
今のところ、どれだけ頑張っても30時間程度しか実現できていません。
詳細のCal.No.は、AS1873。テクノスのカイザーシグナル、ラドーのケープホーンに続いてASの機械となります。
No.は裏蓋にも刻印があります。最後のOHは昭和55年のようですね。
それでは分解を始めます。
日の裏から分解していきます。簡単な構造で瞬時切換を実現しているカレンダーですが・・・
日車の下を見たら、昔見たレバーが。竜頭を押すことでカレンダーの早送りができる機械でした。
次に表側です。
ここから悪夢が始まります。
角穴車を取り外し、コハゼを取ります。バネも取ります・・・油断しました。飛びました。
とりあえず、作業を続けます。受けを外します。
普通ならネジを1個ずつ取り外しますが、今回なぜか全部緩めてから受けごと外すという手抜きをしました。
受けを外した直後にピンセットが滑り、受けが落下。その時ネジが一個飛びました。
作業を続けます・・・
一通り分解が終わり、香箱チェックです。前回のような滑りはなく、このままでもいいような気もします。
チェックを終え、角穴車を香箱から外します。その時、ちょっとしたショックがあり、角穴車が落ちました。
この時に角穴車ネジがいなくなりました。
気を取り直して作業を続行。
ゼンマイを香箱から出す決意をし、少しずつ取り出していきます。
いつもの作業なんですが、なぜか今回、いつもと違う感覚でした。
すでに部品が3つなくなっているせいでしょうか。
おかしい、と思った矢先、指が滑って一気にゼンマイを解放させてしまいました。
やったことがある方はわかると思いますが、結構な勢いで香箱が飛んでいきます。
後方に飛んだような音がしたので、掃除がてら探したのですが、結局出てきませんでした。
ということで、短時間の間に同じ時計の部品を4つ、立て続けに魔空間に葬り去ってしまいました。
栃木にいたころは、部品を飛ばしてもなんだかんだで出てくることが多かったのですが、
こちらに来てからはほとんど出てきません。香箱や角穴車ネジのような部品が出てこないんですから
受けのネジやコハゼばねなんか出てくるとは思えません。
そんなわけで、作業続行は諦めます。このままドナーとさせていただきますことをご報告いたします。
とほほ・・・