Citizen Super Jet Auto Dater

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今日から集団疎開です。時計関係の工具、部品は来週末に疎開先に届くよう手配しました。

疎開先でも分解を続けたいと思います。


さて、シチズンジェットです。以前から特徴的な自動巻機構が気になっていましたが、

外観にあまり特徴がないのと価格の問題で、二の足を踏んでいました。

今回入手に至った理由は、石数が多いことと金めっきがあまり痛んでいないように見えたためです。

ただ、文字盤に多少の劣化と完全な不動状態(ローターは回りますが秒針はぴくりともせず)。

その割に価格的にはちょっとがんばりすぎたかも。
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裏蓋を見ますと、"100 MICRONS 14K GOLD FILLED"の文字が。これだけ厚ければ、なかなか

地は出てこないでしょうね。
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裏蓋を開けました。中はきれいです。本来なら、機留めを外して風防側から機械を取り出して

作業をすべきなんですが、出来心でローターだけを取り外すつもりが、うっかりそのまま

分解を続けてしまいました。
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外したローターを裏返すと、ベアリングのボールが見えました。何と!ルビーボールです。

9個使われています。
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次に自動巻の受けを外しましたが、受けだけを外すことができず、下の歯車がばらばらになって

しまいました。いつもの通り、あーでもないこーでもないと並べ替え、これだっ、というのが

この写真です。
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今まで見たことがないひげが丸穴車の中心から歯車の間を縫って伸びています。

自動巻のコハゼばねのようですが、こんなレイアウトにするしかなかったんでしょうか。

香箱受け、輪列受けを外します。二番車と四番車が同軸のオーソドックス(?)な輪列です。

ここまで来て、ようやく機械がまだケースの中であることに気づき、風防を外して取り出しました。

日の裏側はこんな感じ。
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日付の太いフォントが特徴的。日板押さえも厚くて大きな一体物。それ以外は特に変わったところは

ありません。あえて書くなら、オシドリの押さえ方がクリスタルセブンとも違いますが、その詳細は

説明が大変な割に大した情報でもないので割愛します。

分解中、39石の使用先を探しました。わかったのは、ローター9個、地板10個、自動巻受け5個、

テンプ3個、輪列受け7個、アンクル(受け含む)3個、二番受け1個の計38個。クリスタルセブン33石

の時も1個足りなかったので、たぶん同じところが未カウントなのでしょう。


分解が完了したので洗浄です。完全不動品だけあって、穴石には相当がんこな汚れが付いていました。

ベンジンだけでは落ちないので、爪楊枝で何度も擦り、ようやくきれいになりました。

香箱は比較的きれいだったので分解はやめ、内周にグリスを塗るだけにしようと思いました。

ただ、ゼンマイを巻いて直接グリスを塗布してやろうなどと色気を出したもんですから、

またびよよーんとやってしまい、ゼンマイ挿入に苦労することとなりました。

写真を撮り忘れましたが、ゼンマイの外端には香箱と同じ方向のカーブがついた短い金属片がついていました。

今回は輪列受けのセットにちょっと手間取りましたが、無事取り付け完了。香箱受けをつけ、コハゼを

取り付けようとしたのですが、うまくコハゼばねにセットできません。仕方がないので一度受けを外し、

裏側からコハゼとバネを組み合わせ、再度取り付けました。
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丸穴車、角穴車をつけたらテンプをつけて、自動巻機構を取り付けます。

ここは先ほどの分解時に仮組したとおりに組みます。
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次に自動巻の受けを取り付けたのですが、切換車(?)の固定も兼ねる2本の位置決めピンとの嵌め合いが

きつかったので、各ホゾが合うかどうか心配でしたが、輪列受けより簡単に入りました。

切換車(?)を取り付けた後、ローターをつける前に日の裏側をやっつけます。早送りできない日付だけ

なので、それほど手間はかかりませんでした。

さて、腐食の始まった文字盤ですが、
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色が大変汚いのでそのままにはできませんから、グラスファイバーブラシで削り取りました。

6時位置の"JAPAN"の文字も消えてしまいましたが仕方ありません。

縁だけでなく、目立つところにも腐食がありますが、まだ小さいしヘタに手を入れると

取り返しがつきませんので、ここにはさわらず、クリーナーで拭くだけにしました。

機械に取り付け、針をセット。
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ケースに入れてローターと機留めを取り付けます。ローターはケースと機械の固定と同じような方法で

固定しますが、切換車(?)の反対側は、自動巻受けと共締めなので長いネジを使います。

ベゼルと裏蓋をぱちんとはめてできあがり。
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ローターの回転はスムーズに見えるのですが、かなり大きめの摺動音がします。

この時計はもともと独特の音を発するらしいので、これで正常だろうと思っていますが、

あまりいい印象はないですね。以前レビューで書いたPARNISの時計とよく似た音です。

組立後のタイミング調整をしてない状態で精度は装着状態で+10秒以内、平置きで-5秒/日程度。

当然時間が経つにつれて変化する可能性は高いですが、今のところはそこそこの精度です。



ネットを徘徊して調べたところでは、シチズンジェットはだいたい1963年発売と書いてあります。

手元のジェットは、裏蓋を見ると212****となっていますから、製造は'62年ということになります。

最初のロットでしょうか。ヤフオクで'63年製、'64年製の出品を見ましたが、どうもラグの形状が

違うようです。けっこう頻繁に仕様変更があったようですね。