香箱のメンテ

ホゾやホゾ穴への注油については、散発的ながらコメントでみなさんと意見を交換し、方向性は

だいたい同じなのかな、ということはわかってきました。

もう一つ、常々心にもやもやを感じていたのが香箱のメンテです。


いろいろな掲示板やブログを見ますと、香箱のメンテについてはいろいろな見解があります。

1.OH時には香箱内のメンテ(分解注油)も必須である

2.メンテ時はゼンマイ巻き器を使わなければならない

3.ゼンマイを手で出し入れするくらいならメンテはしない

4.OH時ゼンマイは香箱ごと交換

5.ゼンマイの潤滑は、手巻きは不要、自動巻の場合はスリッピングアタッチメントが接する部分のみ

6.香箱内側、ゼンマイ全面に行き渡るようオイルを塗布

などなど。

初心者としてはどうしていいのか非常に悩みましたが、ようやく割り切れる心境になりました。


1.については、OHの間隔が問題ですよね。履歴を把握していれば、メンテの要否は判断できると

思うんです。判断する際にはどれだけの期間どれくらいの頻度で使用されたらこうなる、というのを

経験として知っていることが必要ですけど、私の場合はそれがないので今後の課題です。

2.のゼンマイ巻き器は、ゼンマイを安全に変形なく香箱に収めるのが目的で、それは理解できるのですが、

そこに気を使っているのに香箱から外す時はノーマークなのが気になります。

外す時だって、ヘタにやれば危険だしゼンマイ破損の可能性も高い。外す時に道具を使わず、入れる

時だけ道具を使うのは片手落ちなのでは?と思えるのですが。何か思い違いをしてるのかなあ。

3.は、潔いですよね。4.に通じるものがあるのかもしれませんが、ゼンマイが切れるあるいは

へたるまで何もしないということなんでしょう。これはゼンマイ出し入れ時の変形による精度悪化を

嫌ってのことと思います。今まで分解してきた時計の香箱は9割以上が洗浄無しでは

気が済まないようなものでしたが、気分的に気が済まないだけで、そういう状態が精度や耐久性に

どう影響するのか、よくわからないところもあります。

いずれにしても、これはいざという時は香箱交換するのが前提の考え方だと思いますので、交換用部品が

もう手に入らないような時計の場合は当てはまらないでしょうね。

4.は、メーカーサービス部門の考え方ですね。純正OHであれば、それなりの精度を保証しなければ

なりませんから、動力源である香箱をいつもフレッシュにしておく必要があるのは理解できます。

中には仕様的に長くはもたないゼンマイなので、OHの際に無条件で交換するという時計もあるようですが。

これは香箱アッシーではなくてゼンマイだけだったかな。

5.は、近所の時計屋さんの話とETAのオイルチャートからの話です。ETAでも香箱交換が指示されている

機械はあります。最初はこれを信じ込んでいましたが、いろいろな時計の香箱を開けてみると、内側の

めっきがはげて、それなりに擦れていることを伺わせるものがけっこうあるので、
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多少は潤滑が必要なのかなと思い直し、だいぶ前から全体にグリスを入れるようにしています。

それが6.です。


長々とくだらないことを書きましたけど、結局どんな時でも1つの考え方を貫き通せるわけではなくて、

場合に応じて使い分ける必要があるんだと思います。

将来の目標にしている「自分の時計は自分でメンテ」をやる場合は、基本 香箱内のチェックのみで、

交換の必要があってかつ部品が手に入るならASSY交換。

ジャンク品をとりあえず動くようにする場合や部品が手に入らない場合、とにか安く上げたい場合は分解洗浄。

そんな使い分けで今後もやっていきたいと思います。

でも、道具の問題が解決してないんですよね。ゼンマイ外し器ってないんでしょうか?