BENEX LORD BENEX 88J
多石マニアのみなさん(いるのか?)、お待たせしました。今回は88石を奢られた機械です。
88というのはなんだか中途半端な数ですが、多い方なのは間違いありません。
今まで57石のラドーゴールデンホース、100(101)石のウォルサムロールマチックなどをばらして
きましたが、ゴールデンホースは完全に飾りだし、ロールマチックも石の場所はともかく、数は
全く意味がないと思えるものでした。今回の機械はどこにルビーが仕込まれているのか?これが
最大の関心事項です。
いつもの通り、外観から。けっこう金メッキがはげています。竜頭もだいぶ摩耗してます。
裏蓋との合わせ面、竜頭と反対側に腐食が偏っているのはお約束みたいなものですか・・・
針と文字盤を外しました。日付が赤黒交互なのはウォルサムのロールマチック以来です。
この段階では余分なルビーの場所はわかりません。
この段階では余分なルビーの場所はわかりません。
日の裏の分解が終わったら、表側です。初めての機械なので、慎重に分解します。
まず、ローターを取って、自動巻のプレートを外しました。割と動作がわかりやすい構造です。
基本ムーブ
三番受けを外しました。主に国産時計で見たような構造に驚きました。
シチズンなどでよく見る二枚重ねの三番車を使っています。スイスムーブでは2回目の遭遇です。
一番受けを外しました。全貌を現した香箱も、どこかで見たことがあります。角穴車が香箱の
ふたを兼ねている、リコーパンチの香箱と同じです。
丸穴車は、三番受けの裏にありました。
香箱を取り出して、ひっくり返したらさらにびっくり。ハス画像かと思うような光景が現れました。
ルビーを数えてみると、63個ありました。88-63=25,ベースの機械は25石のはずです。
香箱からゼンマイを取り出しました。中が全然摩耗していなければ、香箱にルビーを仕込んだ意味が
あると思いますが(数は別にして)、この状態を見るとそんなことは考えてなかったと思わざるを
得ませんね。
黒っぽく写っているところがめっきの残っている部分です。
黒っぽく写っているところがめっきの残っている部分です。
分解洗浄後は組立です。香箱からガンギ車までを取り付けます。
三番受けをかぶせ、アンクルを取り付けました。アンクル周りの開口部が大きいため、注油は
楽でした。後で拡大写真を見たら、オイルが思ったよりたくさんついていることがわかりました。
テンプをつけて自動巻をつけて、
ケースに入れて完成。
しかし、今回も文字盤をきれいにしたいという誘惑に負け、ついつい洗ってしまいました。
今まではつけ置きしたからだめだったのであり、さっさと洗えば大丈夫なはずだと考えたのですが、
みるみるうちに文字がふやけてきて、一部剥がれてしまいました。しかも、汚れが落ちたところと
落ちなかったところの差が目立ち、かえって汚らしい結果となってしまいました。ほんとに
懲りないやつ。