CITIZEN LEOPARD 28J

今回も張り切っていきましょう。今日はシチズンのレオパール28石です。

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ご覧の通り、風防の角に欠けが目立つものの、文字盤・針を含めて外装は結構きれいです。

裏蓋には新品時のシールが残っています。傷防止にはなりますが、みすぼらしいので剥がすことにします。
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その裏蓋を開けます。中もきれいですが・・・何の飾りもないローターは別格として、そこはかとなく

コストダウンのにおいが各部に感じられます。写真ではわからないと思います。
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針、文字盤はきれいです。
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日の裏もきれいです。しかし、ここには魔物が潜んでいるのでした・・・
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どんどんばらして、次は表側です。すでに自動巻の受けが外されています。
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輪列です。二枚重ねの三番車が特徴です。秒針規正のリンクも独特です。
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香箱内部です。光の加減でわかりにくいですが、ほとんど汚れがありません。油っ気もありません。
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先日の投稿で書いた通り、今回から香箱にはメービスの8200というグリスを使っています。

見た目はちょっと硬めのグリスに見えるのですが、ドライバーなどで掬ってみますと液体のような

感じです。拡散しにくく抵抗が小さいってことでしょうか。


外装はけっこうきれいなのであまり手を入れないつもりですが、ベゼルとガラスの間にさびのような

汚れがあります。結構目立つので、ガラスを外してきれいにしてから再接着したいと思います。
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洗浄が終わったら組み立てていきます。まずは輪列。香箱横の自動巻の歯車を、時々忘れるので

要注意です。
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受けをかぶせ、エピラム処理をしたアンクルを取り付けます。
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この段階ではゼンマイを巻けないのでアンクルチェックができません。一度日の裏側に行って

組めるところ(裏返した時に落ちない程度)まで組み付けます。
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また輪列側に戻ってアンクルチェック、注油、テンプ取り付け、自動巻取り付けをやります。
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再び日の裏に行き、日車押さえまで取り付けたところで動作チェックをしました。すると、77系の

最大の特徴であるカレンダー早送り用のレバーが全然動きません。曲がっているのかと思い、レバーを

外して横から見てみたら、裏側に飛び出してはいけないものが飛び出していることがわかりました。
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かなり強い力がかかったものと思われます。これをポンス台で叩いて平らにします。
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さあこれでOKと思ったら、日車を全然送れない。もうちょっとストロークがあれば・・・

日車の爪を押す爪を出してやればいいかと思ってレバーを見たら・・・
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内側に曲がってますやん。これじゃ押し切れないのも道理。そこで、曲げ戻してやりました。
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これで日車はばっちり。続けて曜車を取り付け、動作チェックしたら、一難去ってまた一難、

こちらも動作がおかしい。レバーのストロークが足りず押し切れない感じなんです。そこで曜車を

直接送ってやり、もう一度竜頭を押すと今度はスムーズに送る。しかしその次がダメ。ダメヨシが

交互になってるんです。悩みました。悩んでいる時に、ちょっと前にやったレオパールでも同様の

トラブルが出ていたことを思い出しましたので、過去の書き込みを読み返してみたら、なんと

そこで作業を中断しちゃってるんですよ。やりかけのレオパールが部屋の隅にあったので、

なぜかなーと思っていたのですが、そういうことでしたか。すっかり忘れてました(^_^;


同じ原因で二個も作業中断のままにするわけにはいかないので、どうしようかずーっと考えました。

そしてわかったことは、なぜ交互にダメヨシとなるのか、です。


この曜車は日英表記の切り替えができますから、一周14ポジションの位置決めができるはずです。

普通に考えると爪が14枚ついていると思ってしまいますが、実際には7枚です。

曜送り爪との噛み合いの関係で14枚にできなかったものと思います。

ではどうしているかというと、曜躍制レバーと曜車の歯の形状を工夫することで解決しています。

通常は曜車の歯と歯の間に躍制レバーが入って位置を規正しますが、この機械の躍制レバーには

切り欠きがあって、曜車の歯の先がこの切り欠きに入って止まる位置があるんです。これで

一周14ポジションを実現しているのです。次の写真を見てください。
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左側が曜車の歯と歯の間に躍制レバーがある位置で、この時に竜頭を押すと揺動レバーの爪の

向かって左側が曜車の歯を押します。右側の状態も、同様に読みとってください。

これらのうち片方の状態が早送りに関して無理があるのでしょう、どこかに摩耗・変形等の不具合が

出ると、早送りができなくなるらしいのです。残念ながら、どこをどうすれば根本解決できるのか

まではよくわかりませんでした。ただ、曜車の歯に注油をしてやったら、少々強く竜頭を押す必要は

ありますが、早送りができるようになりました。今回はとりあえずこれをもって解決ということに

しました。

後は曜車をつけて、いったん風防を外してベゼルを磨いて汚れを取って接着し直したケースに入れて
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完成です。保護シールを剥がした裏蓋はテラテラと光ってまして、見た目はまあまあなんですが、

内部にちょっとした爆弾を抱えているわけです。
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今回はどうでもいいことを長々と書いてしまいました。間違っていたらすみません。ぺこり

おつきあいくださってありがとうございました。



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