CITIZEN AUTOMATIC 21J

今回はすっきりしないネタでお送りしたいと思います。

ペットネームのないシチズンの自動巻き時計。ケースの表面が茶色です。
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「塗装」とは違う感じです。シチズンには「ブラッキー」というのがあるのを見たことがあるので、

それと関係があるのかちょっと調べた結果、似たような表面の時計が見つかりました。

軽合金に「黒色ハーダーマイト処理」という特殊な処理がされており、表面硬度は

ステンレスの2倍、重量は1/3とのこと。確かに軽いです。

ラグ裏のばね棒穴部が欠けているところを見てみると、ラドーの超合金みたいな感じです。

機械は6501?初めて見るタイプです。(と思ったら、3年以上前に一つ分解していました。

そいつは記事にもしてなかったので、忘れていました。)

ローターの軸を見ると、文字が消えていてもシチズン製ということがわかりますね。
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分解前の症状は、不動、カレンダー早送りできず、風防なし。'75年製造ですから、

風防はもうガラスになっていると思いますが、合うものがないので汎用プラ風防を取り付けてあります。

ゼンマイがかなり巻き上げられた状態で止まっているようなので、巻真を外す前に解放しようと

したのですが、コハゼが往復式ではなく回転式なので、どうしたらいいかしばし考えてしまいました。
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機械を取り出したら、風防がなかった割には状態の良い針と文字盤を外し、分解を開始。
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曜車を留めているクリップを外し、曜車を取り外したところ、かなり粘度の高いグリス状のもので

張り付いていたことがわかりました。これでは動かないのも道理。
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日車の方も、曜車ほどではありませんがグリス状のものにより動きが渋くなっていたようです。

日の裏は今までのシチズンとはかなり違う構造のようです。裏押さえの先端に日車の早送り爪が

ついていたり、鼓車に早送り爪を回す歯がついていたり、日躍制レバーバネが曜躍制レバーバネを

兼ねていたり。
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続いて表側を分解していきます。輪列と自動巻きの部品を一枚の受けで受けていますね。
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四番車が固着していました。外した後を見ると、固まったグリスが。緑青も発生してますね。
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オシドリが簡単にはずれない構造みたいです。はめ殺しではなさそうですが、

無理はしないことにします。
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香箱チェックをしたところ、スリップ具合は問題なく、中もきれいでしたので香箱真のみ外し、

洗って注油だけにします。
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洗浄後、組み立て開始。とりあえず日の裏側は巻真まわりのみつけて、表側へ。
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輪列と自動巻きの部品のほとんどを取り付けます。
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香箱の左にある歯車は、ローターの回転を最終的に角穴車に伝える歯車ですが、

受け側にあるのは穴の明いていない石です。こういうのはあまり見ませんね。
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受けをかぶせます。手こずるかな、と思ったら、意外にも一発で入りました。
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残りの部品を取り付けて、表側はとりあえず完了。
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日の裏側を片付けます。そして、カレンダーの動作を確認したのですが、曜車が

動きません。早送りができないのは構造上間違いないのですが、針を送っても

曜車だけ進みません。原因は、次の画像の黄色丸の部分でした。
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本来はここにピンが立っているはずです。曜車が張り付いてしまったのに無理して

送ったため、ピンが折れてしまったのでしょう。早送りもできませんので、曜日は

固定になってしまいます。毎日日曜日がいいな、ということで日曜にします。
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あとはいつも通りケースに入れて
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完成です。
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しかし


その後の使用で、不具合が発覚。組立時は手巻きができたのですが、しばらく使うと

なぜか手巻きができなくなってしまいます。吉車か丸穴車が摩耗しているのでしょうか。

裏蓋を開けて状況を確認すると、両者の噛み合いはかなり浅いようです。

摩耗ですかね・・・

日送り車の件もあり、これ以上手を入れる気にもならず、とりあえず放置、

ということになってしまいました。すっきりしなくてすみません。