44KS ゼンマイ交換
1年ほど前に、44KSのジャンクを分解しました。その時の模様は⇒こちら
ゼンマイが切れているのと、巻真に問題がありそうということになっていました。
先日の45KSのゼンマイを調達するのにあたり、この時計のことを思い出したので、
一緒に注文しました。今回は、そのゼンマイ交換のお話です。
届いたゼンマイはこちら。どう見ても純正ではありませんが、使えればいいのです。
さっそく取り出して香箱に収めようとしました。しかし、普通なら香箱の内周よりも小さく
巻かれているはずなのに、0.5mmほど大きいため、このまま押し込めません。
これを買った店に問い合わせようかと思いましたが、45KSのゼンマイの内端径が大きい理由を
聞いても無回答だったため、今度も回答が期待できないと思い、問い合わせるのをやめました。
で、ちょっと調べたんですが。44系の機械には44、44A、4402と4420があるらしいのですが、
適用される主ゼンマイはそれぞれ401440,401680(訂正しました),401441,401680となっています。
つまり厳密にいうと44系には3種類のゼンマイがあり、4402に適用されるのは401441らしいのです。
届いたのは「401440」と書いてあるので、そのせいで巻き径が違うのかも、と思うことにしました。
入っていたゼンマイと比べると厚さも違うのですが、入っていたのが純正かどうかも怪しいので、
気にしないことにしました。
交換の後は、時計は動いています。ただ、全巻きから止まるまでの間の歩度の変化が
非常に大きいことがわかりました。ゼンマイのせいじゃないと思いますが・・・まともに動かすのは
初めてなので。
でもここまでひどいのは初めてなので、何かやってみようということで調べてみました。
ゼンマイがほどけるにしたがってどんどん振り角が落ち、歩度がマイナスに振れています。
ゼンマイがほどけるにしたがって振り角が落ちるのは仕方がありませんが、歩度の
変化は異常と思いますので何とかしてみたいと思います。
こういう時の調整方法としては、アオリ量をいじるというのがあります。
緩急針の先に出ていて、ひげゼンマイを挟むようについている部品の隙間を
調整するのです。
一般的には、ここが広すぎると振り角が落ちた時に遅れが出るようになります。
だからここを狭めれば症状が緩和されるかな、と思ってテンプを外して
緩急針の裏を見てみました。すると、逆に狭すぎることがわかりました。
肝心な部分が影になっていてよくわかりませんが、ひげ棒がひげ受けに向かって
傾いています。もし、アオリを小さくするために曲げられているのだとしたら、
もう打つ手がないということですよね。しかしこのままあきらめるのも悔しいので、
逆に広げてみることにしました。
写真だと広げすぎに見えますね(^_^;
これでもう一度同じような測定をしてみました。今度は実際の誤差も記録しました。
経過時間 振り角 歩度 実誤差
0(全巻き) 240゚ +40前後 -
8H 180゚ -55前後 -14/d
20H 200゚ -10前後 -23/d
31H 130゚ -140前後 -55/d
0(全巻き) 240゚ +40前後 -
8H 180゚ -55前後 -14/d
20H 200゚ -10前後 -23/d
31H 130゚ -140前後 -55/d
なぜか遅れは改善されました。全巻き時のタイミングを進み気味にしておいて、
半日ごとに巻き上げるようにすれば、実用上はあまり問題なさそうです。
当面、この使い方をしながら、気が向いたらまたアオリをいじってみましょうか。