OMEGA Cal. 1861の分解

今回は、ちょっと訳があってタイトルの機械を分解掃除することになりました。

Cal. 1861というのは、現行のスピードマスタープロフェッショナルに使われているやつです。

見た目でけっこう敷居の高さを感じていたのですが、テクニカルガイドを入手して

眺めていたら、意外に部品点数は少ないことがわかり、気が楽になりました。


というわけで、分解です。
イメージ 1


比較的大きなスペーサーにはめ込まれていますが、これがあると

機械台に乗せやすいので、できる限りつけたまま作業を進めることにしました。


まず、クロノグラフブリッジから外しました。

この部品はクロノ秒針と30分計、その中間車を押さえていますが、

30分計の動きを規制している部品が裏側についています。
イメージ 2


ETA7750系が長いバネ一本なのに比べると、コストがかかってますね。

調整も不要です。

次にカムを外します。上下二枚あり、それぞれ役割が違うので名前も違いますが、

カムというのは共通なので、ここでは単にカムとします。
イメージ 3


外せるものはとりあえず外していきます。出車は出車用リムーバーで取り外します。
イメージ 4


輪列受けを外します。裏側に丸穴車とコハゼが組み付けられています。
イメージ 5


輪列は普通の印象です。
イメージ 6



次に日の裏側を分解します。表側に比べると、安っぽい感じがするのは気のせいでしょうか。
イメージ 7


巻真周り。普通ですね。
イメージ 8


香箱の中はとてもきれい。香箱真だけ洗って注油します。
イメージ 9


ちょっと驚いたのは、12時間計のクラッチが、ETA7750のように12時間計の歯車側に

あるのではなく、香箱側にあることです。どちらの方式に優位性があるか、ちょっと考えたんですが、

答えは出ませんでした(^_^;


さて、洗ったら組立です。

まず、インカブロックをつけて、巻真をつけたら輪列を載せます。
イメージ 10


受けをかぶせて、アンクルをつけます。
イメージ 11


アンクルチェックをしようと思ったら、角穴車ネジがなくてゼンマイが巻けないので、

いったん日の裏に行って巻真周りを取り付けます。
イメージ 12


これだけでは香箱真の片側がまだ固定されていないので、もう少し部品をつけます。
イメージ 13


12時間車とハンマーをつけたら、受けをかぶせます。これでようやくゼンマイが巻けます。
イメージ 14


左上の部品は、右下の受けと高さを合わせるための、単なるスペーサーみたいです。

残りの部品もつけちゃいます。
イメージ 15


この後ひっくり返すので、座金はつけません。

表に行って、アンクルチェック、テンプをつけたら、カムやバネを取り付けて行きます。
イメージ 16


もう一息です。ハンマーに余分なオイルがついているような気も・・・
イメージ 17


完成したところは撮り忘れたようです。姿は最初の写真と同じですので、ご了承ください(^_^;

日の裏に戻り、座金を付けて動作確認したら文字盤と針をつけて、ケースに入れて完成です。
イメージ 18


今回は事情により機械だけの画像になります。

今、オメガは部品の供給をやめてしまったので、部品を壊したら大変だということで

緊張しながらの作業でしたが、思ったより組みやすい機械でした。

プレス打ち抜きで仕上げをしてない部品が多い反面、頭が磨かれた干支足ネジとか

筒カナと二番車のはめ合いが、筒カナを変形させるんではなくて、もともとの部品の形状で

摩擦を発生させているような感じがしたり、7750慣れしている自分には新鮮でした。


さて、次は・・・昨年からやりかけたままになっているのを早く片付けないとな・・・